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July 26, 2018 Vol. 379 No. 4

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遺伝性血管性浮腫の発作予防のための経口血漿カリクレイン阻害薬
Oral Plasma Kallikrein Inhibitor for Prophylaxis in Hereditary Angioedema

E. Aygören-Pürsün and Others

背景

遺伝性血管性浮腫は,カリクレイン–ブラジキニンカスケードの過剰な活性化をもたらす C1 インヒビター(別名 C1 エステラーゼインヒビター)をコードする遺伝子の変異によって引き起こされる,生命を脅かす疾患である.BCX7353 は,血漿カリクレインの強力な経口小分子阻害薬であり,その薬物動態・薬力学プロファイルは血管性浮腫の発作予防に有用である可能性がある.

方 法

3 部構成の国際プラセボ対照用量範囲試験において,BCX7353 の 4 用量(62.5 mg,125 mg,250 mg,350 mg 1 日 1 回)について,28 日間の血管性浮腫の発作に対する予防効果を評価した.I 型または II 型遺伝性血管性浮腫で,1 ヵ月に 2 回以上の発作の既往がある患者を,BCX7353 群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要有効性評価項目は,確認された発作の回数とした.主な副次的評価項目は,解剖学的部位別の血管性浮腫発作や,QOL などとした.

結 果

77 例が無作為化され,75 例が BCX7353 またはプラセボの投与を受け,72 例が試験を完了した.確認された発作の発生率は,BCX7353 を 1 日 125 mg 以上で投与された患者において,プラセボ投与患者よりも有意に低く,125 mg 群で 73.8%の差があった(P<0.001).125 mg 群と 250 mg 群では,QOL スコアに有意な利益が認められた(P<0.05).もっとも多く報告された有害事象は消化器系有害事象で,主にグレード 1 であり,とくに BCX7353 の高用量の 2 群で多かった.

結 論

BCX7353 125 mg 以上の 1 日 1 回経口投与により,プラセボ投与と比較して,遺伝性血管性浮腫の発作発生率が有意に低下した.軽度の消化器症状が主な副作用であった.(BioCryst Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.APeX-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02870972)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 352 - 62. )