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August 2, 2018 Vol. 379 No. 5

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尿崩症の診断におけるコペプチンに基づくアプローチ
A Copeptin-Based Approach in the Diagnosis of Diabetes Insipidus

W. Fenske and Others

背景

間接水制限試験は,尿崩症の診断における現行の参照基準である.しかし,試験の実施は技術的にむずかしく,結果は不正確であることが多い.この研究では,間接水制限試験と,アルギニンバソプレシン前駆体由来の代替マーカーである血漿コペプチンの直接測定とを比較した.

方 法

水制限試験と高張食塩水静注試験の両方を行うため,2013~17 年に 11 の医療施設で,低張多尿患者 156 例を登録した.高張食塩水静注試験では,高張食塩水を静注後,血漿ナトリウム値が 150 mmol/L 以上に上昇した時点で血漿コペプチンを測定した.主要転帰は,最終参照診断と比較した各試験の全体的な診断精度とし,最終参照診断はコペプチン値は伏せた状態で病歴,試験結果,治療効果に基づき確定した.

結 果

144 例で両試験を行った.最終診断は,原発性多飲症 82例(57%),中枢性尿崩症 59 例(41%),腎性尿崩症 3 例(2%)であった.全体で,解析対象とした 141 例のうち,間接水制限試験で正確な診断が下されたのは 108 例(診断精度 76.6%,95%信頼区間 [CI] 68.9~83.2)であり, 高張食塩水静注試験( コペプチンカットオフ値>4.9 pmol/L)では 136 例(96.5%,95% CI 92.1~98.6)であった(P<0.001).原発性多飲症と部分型中枢性尿崩症とが正確に鑑別されたのは,間接水制限試験では 105 例中 77 例(73.3%,95% CI 63.9~81.2),高張食塩水静注試験では 104 例中 99 例(95.2%,95% CI 89.4~98.1)であった(補正後の P<0.001).水制限試験中に,1 件の重篤な有害事象(入院にいたったデスモプレシン誘発性低ナトリウム血症)が発現した.

結 論

低張多尿患者において,高張食塩水で刺激された血漿コペプチンの直接測定は,水制限試験よりも診断精度が高かった.(スイス国立財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01940614)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 428 - 39. )