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August 9, 2018 Vol. 379 No. 6

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非重症患者の血糖コントロールのためのクローズドループインスリン投与
Closed-Loop Insulin Delivery for Glycemic Control in Noncritical Care

L. Bally and Others

背景

糖尿病患者では,推奨血糖目標値の達成が入院により困難になることがある.クローズドループ送達システム(人工膵臓)により,1 型糖尿病患者で血糖コントロールの改善が可能であるというエビデンスが増えている.われわれは,重症ケアを受けていない 2 型糖尿病患者でも,クローズドループシステムにより血糖コントロールの改善が可能かどうかを検討したいと考えた.

方 法

英国とスイスの三次医療機関 2 施設の一般病棟で行われた無作為化非盲検試験において,皮下インスリン療法を必要とする 2 型糖尿病の成人患者 136 例を,クローズドループインスリン投与を行う群(70 例)と,各施設の診療に従って従来の皮下インスリン療法を行う群(66 例)に割り付けた.主要評価項目は,最長 15 日間または退院までに,センサーによる血糖測定値が 100~180 mg/dL(5.6~10.0 mmol/L)の目標範囲内であった時間の割合とした.

結 果

センサーによる血糖測定値が目標範囲内であった時間の割合の平均(±SD)は,クローズドループ群では 65.8±16.8%,対照群では 41.5±16.9%で,差は 24.3±2.9 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 18.6~30.0)であった(P<0.001).血糖値が目標範囲を超えた患者の割合は,それぞれ 23.6±16.6%と 49.5±22.8%で,差は 25.9±3.4 パーセントポイント(95% CI 19.2~32.7)であった(P<0.001).平均血糖値はクローズドループ群 154 mg/dL(8.5 mmol/L),対照群 188 mg/dL(10.4 mmol/L)であった(P<0.001).低血糖(センサーによる血糖測定値が 54 mg/dL 未満と定義)の期間(P=0.80)と投与されたインスリン量(用量の中央値はそれぞれ 44.4 単位と 40.2 単位,P=0.50)に,群間で有意差は認められなかった.重度の低血糖エピソードもケトン血症を伴う臨床的に重大な高血糖エピソードも,いずれの群においても発生しなかった.

結 論

重症ケアを受けていない 2 型糖尿病入院患者において,自動クローズドループインスリン投与システムの使用により,従来の皮下インスリン療法と比較して,低血糖のリスクを高めることなく,有意に良好な血糖コントロールが得られた.(ダイアビーティス UK ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01774565)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 547 - 56. )