The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 16, 2018 Vol. 379 No. 7

発症時刻不明の脳梗塞に対する MRI ガイド下血栓溶解療法
MRI-Guided Thrombolysis for Stroke with Unknown Time of Onset

G. Thomalla and Others

背景

現行のガイドラインでは,急性期脳梗塞に対する静脈内血栓溶解療法は,発症後 4.5 時間未満であることが確認できる場合にのみ行われる.発症時刻不明の脳梗塞で,発症してまもないことが MRI で示唆される患者において,アルテプラーゼ静注による血栓溶解療法で利益が得られるかを明らかにすることを試みた.

方 法

多施設共同試験において,発症時刻不明の脳梗塞患者を,アルテプラーゼ静注群とプラセボ群に無作為に割り付けた.全例で,MRI 拡散強調画像では虚血性病変を認めるが,脳脊髄液抑制反転回復(FLAIR)画像では脳実質の高信号域を認めず,約 4.5 時間以内に脳梗塞を発症したことが示唆された.血栓除去術が予定されていた患者は除外した.主要評価項目は,90 日の時点での良好な転帰とし,神経障害に関する修正 Rankin スケール(0 [症状なし]~6 [死亡])でスコア 0 または 1 と定義した.副次的評価項目は,修正 Rankin スケールで,アルテプラーゼがプラセボよりも低い順序スコアとなる確率とした(シフト解析).

結 果

期待した 800 例のうち 503 例が登録された時点で,研究助成の中止のため試験は早期に中止された.254 例はアルテプラーゼ投与群に,249 例はプラセボ投与群に無作為に割り付けられた.90 日の時点での良好な転帰は,アルテプラーゼ群 246 例中 131 例(53.3%),プラセボ群 244 例中 102 例(41.8%)で報告された(補正オッズ比 1.61,95%信頼区間 [CI] 1.09~2.36,P=0.02).90 日の時点での修正 Rankin スケールのスコアの中央値は,アルテプラーゼ群で 1,プラセボ群で 2 であった(補正共通オッズ比 1.62,95% CI 1.17~2.23,P=0.003).死亡は,アルテプラーゼ群で 10 例(4.1%),プラセボ群で 3 例(1.2%)であった(オッズ比 3.38,95% CI 0.92~12.52,P=0.07).症候性頭蓋内出血を起こした割合は,アルテプラーゼ群 2.0%,プラセボ群 0.4%であった(オッズ比 4.95,95% CI 0.57~42.87,P=0.15).

結 論

発症時刻不明の急性期脳梗塞患者に対し,虚血領域の拡散強調画像と FLAIR 画像との不一致に基づくアルテプラーゼ静注を行った結果,90 日の時点で,プラセボと比較して機能的転帰は有意に良好であったが,頭蓋内出血が多かった.(欧州連合第 7 次フレームワークプログラムから研究助成を受けた.WAKE-UP 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01525290,EudraCT 登録番号 2011-005906-32)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 611 - 22. )