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August 16, 2018 Vol. 379 No. 7

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多剤耐性 HIV-1 に対するイバリズマブの第 3 相試験
Phase 3 Study of Ibalizumab for Multidrug-Resistant HIV-1

B. Emu and Others

背景

ヒト化 IgG4 モノクローナル抗体であるイバリズマブ(ibalizumab)は,CD4 に非競合的に結合することでヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)の侵入を阻害する.

方 法

単群非盲検第 3 相試験に,複数の抗レトロウイルス療法が失敗した多剤耐性(MDR)HIV-1 感染成人 40 例を組み入れた.全例で,ウイルス量は HIV-1 RNA 1,000 コピー/mL を超えていた.現行の治療を継続する 7 日間の対照期間後,イバリズマブ負荷用量 2,000 mg を静脈内投与し,7 日後にウイルス量を定量化した.25 週まで,イバリズマブ 800 mg の 14 日ごとの投与を,十分に有効な薬剤を 1 剤以上含む,個別に最適化した基礎レジメンとの併用で行った.主要評価項目は,ベースライン(7 日目)から 14 日目までにウイルス量が 0.5 log10 コピー/mL 以上減少した患者の割合とした.

結 果

31 例が試験を完了した.ベースラインのウイルス量の平均は 4.5 log10 コピー/mL であり,CD4 細胞数の平均は 150/μL であった.intention-to-treat 集団 40 例のうち,33 例(83%)でウイルス量はベースラインから 0.5 log10 コピー/mL 以上減少した(対照期間との比較で P<0.001).減少量の平均は 1.1 log10 コピー/mL であった.対照期間中,最適化した基礎レジメンを早期に受けた 1 例で,ウイルス量は 0.5 log10 コピー/mL 減少した.25 週の時点で,イバリズマブ+最適化した基礎レジメンを受けた患者のウイルス量は,ベースラインから平均 1.6 log10 コピー/mL 減少し,患者の 43%がウイルス量 50 コピー/mL 未満,50%が 200 コピー/mL 未満であった.ウイルス学的失敗またはリバウンドをきたした 10 例のうち,9 例では in vitro 検査でイバリズマブに対する感受性がベースライン時よりも低いことが確認された.もっとも頻度が高かった有害事象は下痢であった(患者の 20%).4 例が基礎疾患に関連する原因で死亡し,1 例にイバリズマブ投与に関連すると考えられた重篤な有害事象(免疫再構築症候群)が発現した.

結 論

疾患が進行し治療選択肢が限られた MDR HIV-1 感染患者において,イバリズマブは 25 週間の試験期間中に高い抗ウイルス活性を示した.ウイルス学的失敗をきたした患者に,in vitro で,イバリズマブに対する感受性低下の出現を示す所見が認められた.(米国食品医薬品局オーファン製品臨床試験助成金プログラム,TaiMed Biologics 社から研究助成を受けた.TMB-301 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02475629)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 645 - 54. )