The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

September 6, 2018 Vol. 379 No. 10

成人・思春期児の合併症のないインフルエンザに対するバロキサビル マルボキシル
Baloxavir Marboxil for Uncomplicated Influenza in Adults and Adolescents

F.G. Hayden and Others

背景

バロキサビル マルボキシルは,インフルエンザウイルスのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ選択的阻害薬である.現在の抗ウイルス薬に対する耐性株を含むインフルエンザ A,B ウイルス感染の前臨床モデルにおいて,バロキサビル マルボキシルは治療活性が示されている.

方 法

合併症のない急性インフルエンザに罹患している以外は健康な外来患者を対象とする,2 件の無作為化二重盲検比較試験を行った.用量範囲探索(10~40 mg)プラセボ対照試験を行った後,2016~17 年のインフルエンザ流行期間中に,12~64 歳の患者を対象に,プラセボおよびオセルタミビルを対照とし,体重に基づく用量(40 mg または 80 mg)のバロキサビルを単回投与する試験を行った.オセルタミビルの用量は,75 mg を 1 日 2 回,5 日間とした.主要有効性評価項目は,intention-to-treat 感染集団におけるインフルエンザ症状緩和までの時間(以下,インフルエンザ罹病期間)とした.

結 果

第 2 相試験では,インフルエンザ罹病期間の中央値は,バロキサビル群のほうがプラセボ群よりも 23.4~28.2 時間短かった(P<0.05).第 3 相試験では,intention-to-treat 感染集団は 1,064 例であり,各群 84.8~88.1%がインフルエンザ A(H3N2) 感染であった.罹病期間の中央値は,バロキサビル群で 53.7 時間(95%信頼区間 [CI] 49.5~58.5)であったのに対し,プラセボ群では 80.2 時間(95% CI 72.6~87.1)であった(P<0.001).罹病期間は,バロキサビル群とオセルタミビル群とで同程度であった.バロキサビルは,プラセボ,オセルタミビルと比較して,レジメン開始後 1 日の時点におけるウイルス量のより大きな減少と関連していた.有害事象はバロキサビル投与例の 20.7%,プラセボ投与例の 24.6%,オセルタミビル投与例の 24.8%で報告された.バロキサビルに対する感受性低下をもたらす I38T/M/F 置換を起こすポリメラーゼ酸性蛋白領域の変異の出現は,第 2 相試験と第 3 相試験のそれぞれで,バロキサビル投与例の 2.2%と 9.7%で認められた.

結 論

合併症のないインフルエンザ患者において,バロキサビルの単回投与は,明らかな安全性への懸念を伴わず,症状の緩和についてはプラセボに対して優越性を示し,試験レジメン開始後 1 日の時点でのウイルス量低下についてはオセルタミビルとプラセボの両方に対して優越性を示した.治療後にバロキサビルに対する感受性の低下が起こる知見も観察された.(Shionogi 社から研究助成を受けた.JapicCTI 登録番号 153090,CAPSTONE-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02954354)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 913 - 23. )