The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 14, 2019 Vol. 380 No. 11

2012~17 年の米国の民間保険加入患者における初回オピオイド処方
Initial Opioid Prescriptions among U.S. Commercially Insured Patients, 2012–2017

W. Zhu and Others

背景

米国ではオピオイドの蔓延が人々に有害な影響を及ぼしており,その一因は 25~64 歳の成人による処方オピオイドの過量服用にある.長期および高用量の初回処方に問題があり,患者とその友人・親族をオピオイドの長期使用,誤用,過量服用,死亡のリスクにさらしている.

方 法

全米各地の行政的診療報酬請求データを用いて(Blue Cross–Blue Shield [BCBS] Axis 経由でアクセス),2012 年 7 月~2017 年 12 月の各月における初回オピオイド処方の発生率を推定した.1 ヵ月あたりのオピオイド処方の発生率は,オピオイド使用歴のない(すなわちオピオイドを処方されたことがない,または当該月の前の 6 ヵ月間にオピオイド使用障害の診断を受けていない)加入者のうち,初回処方を受けた割合として推定した.次に,同期間の各月で,加入者のうち長期または高用量の初回オピオイド処方を受けてオピオイド治療を開始した割合を推定した.また,各月でオピオイド使用歴のない患者にオピオイド治療を開始した医療従事者の数を推定し,処方者,患者のサブグループにおいて,初回オピオイド処方の期間と用量の 1 ヵ月あたりの動向を検討した.研究対象は,オピオイド使用歴のない加入者 63,817,512 人(1 ヵ月あたりの平均 15,897,673 人)であった.

結 果

オピオイド使用歴のない加入者における 1 ヵ月あたりの初回オピオイド処方の発生率は,2012 年 7 月の 1.63%から 2017 年 12 月の 0.75%へと,54%減少した.この減少は,オピオイド使用歴のない患者にオピオイド治療を開始した医療従事者の減少(2012 年 7 月の 114,043 人から 2017 年 12 月の 80,462 人へ)と並行していた.それにもかかわらず,そのような患者にオピオイド治療を開始する医師のサブグループでは,その人数は減少しながらも,高リスク処方(3 日を超える処方,またはモルヒネ当量で 50 mg/日以上の処方)が 1 ヵ月あたりオピオイド使用歴のない加入者 15,897,673 人に処方 115,378 件の頻度で持続していた.

結 論

2012 年 7 月~2017 年 12 月にオピオイド危機が進行するなか,多くの医療従事者がオピオイド治療を開始しなくなっていた.初回オピオイド処方は減少したが,一部の医療従事者は高リスクの初回オピオイド処方をし続けていた.(米国国立老化研究所,オーウェン&リンダ・ロビンソンの寄付から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1043 - 52. )