The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

March 21, 2019 Vol. 380 No. 12

肺塞栓症疑い例の診断に対する妊娠に適応させた YEARS アルゴリズム
Pregnancy-Adapted YEARS Algorithm for Diagnosis of Suspected Pulmonary Embolism

L.M. van der Pol and Others

背景

肺塞栓症は,西欧諸国における妊産婦死亡の主な原因の 1 つである.D ダイマー検査の特異度と感度が低いため,肺塞栓症が疑われる妊娠女性は全員が CT 肺血管造影または肺換気血流スキャンを受けるが,いずれの検査も母体と胎児が被曝する.肺塞栓症が疑われる妊娠女性を診断するための画像検査を安全に回避する目的で,妊娠に適応させたアルゴリズムを用いることができるかどうかは明らかではない.

方 法

肺塞栓症が疑われる妊娠女性を対象とした前向き研究で,YEARS アルゴリズムに基づく 3 つの基準(深部静脈血栓症の臨床徴候があるか,喀血の報告があるか,肺塞栓症の可能性がもっとも高いと考えられるか)を評価し,D ダイマー値を測定した.3 つの基準を 1 つも満たさず,D ダイマー値が 1,000 ng/mL 未満である場合,または,3 つの基準のうちの 1 つ以上を満たし,D ダイマー値が 500 ng/mL 未満である場合は,肺塞栓症を除外した.妊娠女性のための YEARS アルゴリズムでは,深部静脈血栓症の症状がある女性に対する圧迫法による超音波検査が含まれ,その結果が陽性の場合(すなわち血栓が存在する場合)は CT 肺血管造影は行われなかった.肺塞栓症が除外されなかった患者全例が CT 肺血管造影を受けた.主要評価項目は 3 ヵ月の時点での静脈血栓塞栓症の発症率とした.副次的評価項目は,肺塞栓症を安全に除外するうえで CT 肺血管造影が適応とならなかった患者の割合とした.

結 果

510 例がスクリーニングされ,うち 12 例(2.4%)が除外された.ベースラインの時点で 20 例(4.0%)が肺塞栓症と診断された.追跡期間中に,膝窩深部静脈血栓症が 1 例(0.21%,95%信頼区間 [CI] 0.04~1.2)で診断されたが,肺塞栓症の患者はいなかった.CT 肺血管造影は 195 例(39%,95% CI 35~44)で適応なしとされ,したがって回避された.このアルゴリズムの有効性は,妊娠第 1 三半期にもっとも高く,第 3 三半期にもっとも低く,CT 肺血管造影が回避された患者の割合は,妊娠第 1 三半期に研究を開始した患者で 65%,第 3 三半期に研究を開始した患者で 32%であった.

結 論

肺塞栓症は,妊娠に適応させた YEARS 診断アルゴリズムによって,妊娠三半期の全期を通じて安全に除外された.CT 肺血管造影は患者の 32~65%で回避された.(ライデン大学医療センターほか 17 の参加病院から研究助成を受けた.Artemis 試験:Netherlands Trial Register 番号 NL5726)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1139 - 49. )