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April 4, 2019 Vol. 380 No. 14

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PDGFRA 陰性の好酸球増多症候群に対するベンラリズマブ
Benralizumab for PDGFRA-Negative Hypereosinophilic Syndrome

F.L. Kuang and Others

背景

好酸球増多症候群は,血液・組織中の著明な好酸球増多と,好酸球に関連する臨床症状によって定義される疾患群である.ベンラリズマブは,ヒトの好酸球に発現する抗インターロイキン-5 受容体αモノクローナル抗体である.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照第 2 相試験で,PDGFRA 陰性の好酸球増多症候群を有し,好酸球の絶対数が 1,000/mm3 以上で,症状のある患者 20 例に,ベンラリズマブ(30 mg)またはプラセボの皮下注射を月 1 回,計 3 回行った.全例が,この疾患に対し,安定した治療(薬剤,または食事の変更)を受けていた.このレジメンに続く非盲検期間では,基礎治療を漸減可能とし,そのあとに延長期間を設けた.無作為化期間の主要エンドポイントは,12 週の時点における好酸球の絶対数の少なくとも 50%の減少とした.

結 果

無作為化期間中に主要エンドポイントが発生した患者は,ベンラリズマブ群のほうがプラセボ群よりも多かった(10 例中 9 例 [90%] 対 10 例中 3 例 [30%],P=0.02).非盲検期間中に,臨床的・血液学的寛解は 19 例中 17 例(89%)で認められ,19 例中 14 例(74%)では 48 週間持続した.寛解が持続した 14 例のうち,9 例(64%)で基礎治療を漸減することができた.骨髄好酸球増多と組織好酸球増多もベンラリズマブ療法により抑制された.とくに頻度の高かった薬剤関連有害事象は頭痛と乳酸脱水素酵素上昇で,ベンラリズマブの初回投与後に患者の 32%に発現し,48 時間以内に全例で消失した.その他の有害事象の頻度は 2 群で同程度であった.寛解を予測する可能性を検討した複数の因子のうち,疾患の臨床的サブタイプのみが初回の寛解または再発に関連しているようであった.

結 論

この小規模な第 2 相試験において,PDGFRA 陰性の好酸球増多症候群に対しベンラリズマブの 12 週間の投与を受けた患者は,プラセボの投与を受けた患者よりも好酸球の絶対数が少なかった.非盲検期間中,臨床的・血液学的寛解は,患者の 74%で 48 週間持続した.有害事象により治療が制限されることはなかった.(米国国立アレルギー・感染症研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00001406,NCT02130882)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 1336 - 46. )