The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

January 10, 2019 Vol. 380 No. 2

食道癌に対するハイブリッド低侵襲食道切除術
Hybrid Minimally Invasive Esophagectomy for Esophageal Cancer

C. Mariette and Others

背景

食道癌に対し開胸食道切除術を受ける患者の半数以上が術後合併症,とくに呼吸器の合併症を発症する.ハイブリッド低侵襲食道切除術により,開胸食道切除術と比較して合併症発症率が低くなるかどうかは明らかにされていない.

方 法

中部または下部食道に切除可能癌を有する 18~75 歳の患者を対象に,多施設共同非盲検無作為化比較試験を行った.患者を,開胸食道切除術(開胸術)を受ける群とハイブリッド低侵襲食道切除術(ハイブリッド手術)を受ける群に無作為に割り付けた.外科医に対する資格付与,手技の標準化,成績の観察により手術の質を保証した.ハイブリッド手術は腹部・胸部の 2 つの術野をとり(Ivor–Lewis 手技とも呼ばれる),腹腔鏡下胃管作製と右開胸を行った.主要評価項目は,術中または術後 30 日以内に生じた Clavien–Dindo 分類グレード 2 以上の合併症(介入にいたった重大な合併症)とした.解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.

結 果

2009 年 10 月~2012 年 4 月に,103 例をハイブリッド手術群に,104 例を開胸術群に無作為に割り付けた.110 例で計 312 件の重篤な有害事象が記録された.ハイブリッド手術群では 37 例(36%)に重大な術中・術後合併症が生じたのに対し,開胸術群では 67 例(64%)に生じた(オッズ比 0.31,95% 信頼区間 [CI] 0.18~0.55,P<0.001).ハイブリッド手術群の 102 例中 18 例(18%)に重大な呼吸器合併症が生じたのに対し,開胸術群では 103 例中 31 例(30%)に生じた.3 年の時点で,全生存率はハイブリッド手術群では 67%(95% CI 57~75)であったのに対し,開胸術群では 55%(95% CI 45~64)であり,無病生存率はそれぞれ 57%(95% CI 47~66),48%(95% CI 38~57)であった.

結 論

われわれは,ハイブリッド低侵襲食道切除術では,開胸食道切除術と比較して,術中および術後の重大な合併症,具体的には呼吸器合併症の発症率が低くなることを見出した.また,3 年間の全生存率と無病生存率が低下することはなかった.(フランス国立がん研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00937456)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 152 - 62. )