無反応の急性脳損傷患者における脳活動の検出
Detection of Brain Activation in Unresponsive Patients with Acute Brain Injury
J. Claassen and Others
臨床的に無反応の患者において,音声による運動指令に対する脳活動が脳波で検出される場合がある.脳損傷後の数日間に,指令された運動行動と脳活動とに解離がみられる割合と,解離の予後予測における重要性は十分に解明されていない.
1 ヵ所の集中治療室において,さまざまな原因で急性脳損傷を有する,音声指令に無反応な患者を,前向きに連続登録し検討した.痛覚刺激の部位を特定できる患者や,視覚刺激を固視または追視できる患者も含まれた.「手を動かせ」という指令に対する脳活動を検出するため,脳波の記録に機械学習を応用した.グラスゴー転帰尺度拡張版(GOS-E;1~8 のレベルで,高いほど転帰が良好であることを示す)を用いて,12 ヵ月の時点での機能的転帰を評価した.
損傷後期間中央値 4 日の時点で,無反応の患者 104 例のうち 16 例(15%)に脳波で脳活動が検出された.この 16 例中 8 例(50%)と,脳活動が認められなかった 88 例中 23 例(26%)の状態は,退院前に指令に従うことができるまでに回復した.12 ヵ月の時点で,脳活動が認められた 16 例中 7 例(44%)と脳活動が認められなかった 84 例中 12 例(14%)の GOS-E は,8 時間機能的に自立して過ごせることを示す 4 以上であった(オッズ比 4.6,95%信頼区間 1.2~17.1).
急性脳損傷の連続症例の 15%で,運動指令への行動反応がないことと,脳波の記録における運動指令への反応を示す脳活動の所見とのあいだに解離がみられた.(Dana 財団,James S. McDonnell 財団から研究助成を受けた.)