The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

February 14, 2019 Vol. 380 No. 7

HER2 陽性浸潤性残存乳癌に対するトラスツズマブ エムタンシン
Trastuzumab Emtansine for Residual Invasive HER2-Positive Breast Cancer

G. von Minckwitz and Others

背景

術前補助化学療法+ヒト上皮成長因子受容体 2(HER2)標的療法併用後も浸潤性乳癌が残存している患者は,残存していない患者よりも予後が不良である.トラスツズマブと,メイタンシン誘導体で微小管阻害薬である細胞毒性物質エムタンシン(DM1)の抗体薬物複合体,トラスツズマブ エムタンシン(T-DM1)は,化学療法+HER2 標的療法による治療歴のある転移性乳癌患者に利益をもたらす.

方 法

HER2 陽性早期乳癌で,トラスツズマブ投与とともに行うタキサン(アントラサイクリン系薬との併用・非併用を問わず)による術前補助療法後の手術で,乳房または腋窩に残存する浸潤性病変が見つかった患者を対象に,非盲検第 3 相試験を行った.患者を,術後補助療法として T-DM1 の投与を 14 サイクル受ける群とトラスツズマブの投与を 14 サイクル受ける群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは浸潤性病変のない生存(同側浸潤性乳房腫瘍の再発,同側浸潤性乳癌の局所再発,対側浸潤性乳癌,遠隔再発,全死因死亡がないことと定義)とした.

結 果

中間解析では,無作為割付けした 1,486 例(T-DM1 群 743 例,トラスツズマブ群 743 例)のうち,T-DM1 群の 91 例(12.2%)とトラスツズマブ群の 165 例(22.2%)に浸潤性病変または死亡が発生した.3 年の時点での浸潤性病変のない患者の割合は,T-DM1 群で 88.3%,トラスツズマブ群で 77.0%と推定された.浸潤性病変のない生存率は,T-DM1 群のほうがトラスツズマブ群よりも有意に高かった(浸潤性病変または死亡のハザード比 0.50,95%信頼区間 0.39~0.64,P<0.001).初回の浸潤性病変イベントとしての遠隔再発が,T-DM1 群では 10.5%,トラスツズマブ群では 15.9%に認められた.安全性データは T-DM1 の既知の安全性プロファイルと一致しており,トラスツズマブ単独よりも T-DM1 に伴う有害事象が多かった.

結 論

HER2 陽性早期乳癌で,術前補助療法後も浸潤性病変が残存していた患者において,浸潤性乳癌の再発または死亡のリスクは,術後補助療法として T-DM1 の投与を受けた群のほうがトラスツズマブのみの投与を受けた群よりも 50%低かった.(F. Hoffmann–La Roche 社/Genentech 社から研究助成を受けた.KATHERINE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01772472)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 617 - 28. )