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July 11, 2019 Vol. 381 No. 2

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COPD 増悪に対する抗菌薬処方の指針としての C 反応性蛋白検査
C-Reactive Protein Testing to Guide Antibiotic Prescribing for COPD Exacerbations

C.C. Butler and Others

背景

C 反応性蛋白(CRP)のポイントオブケア検査は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)の急性増悪を起こした患者に害を与えることなく,不必要な抗菌薬使用を減らす方法の一つとなる可能性がある.

方 法

プライマリケアの臨床記録上 COPD と診断されており,COPD の急性増悪のためにイングランドとウェールズの 86 ヵ所の一般内科診療所のうちの 1 ヵ所の臨床医を受診した患者を対象に,多施設共同非盲検無作為化比較試験を行った.患者を,CRP のポイントオブケア検査を行い,それを指針として通常治療を行う群(CRP 指針群)と,通常治療のみを行う群(通常治療群)に割り付けた.主要評価項目は,無作為化後 4 週間以内の COPD の急性増悪に対する患者報告に基づく抗菌薬使用(優越性を示す目的)と,無作為化後 2 週の時点での COPD に関連した健康状態(非劣性を示す目的)とした.COPD に関連した健康状態は,10 項目を 0(非常に良好)~6(きわめて不良)の点数で評価する臨床 COPD 質問票(CCQ)で測定した.

結 果

653 例が無作為化された.抗菌薬使用を報告した患者は,CRP 指針群のほうが通常治療群よりも少なかった(57.0% 対 77.4%,補正オッズ比 0.31,95%信頼区間 [CI] 0.20~0.47).2 週の時点における CCQ の合計点の補正後の差の平均は -0.19 点(両側 90% CI -0.33~-0.05)で,CRP 指針群のほうが良好であった.初診時の抗菌薬処方の臨床医による決定は 1 例を除く全例で確認され,追跡の最初の 4 週間に出された抗菌薬の処方箋は患者の 96.9%で確認された.CRP 指針群のほうが通常治療群よりも,初診時に処方を受けた割合(47.7% 対 69.7%,差 22.0 パーセントポイント,補正オッズ比 0.31,95% CI 0.21~0.45)と,追跡の最初の 4 週間に処方を受けた割合(59.1% 対 79.7%,差 20.6 パーセントポイント,補正オッズ比 0.30,95% CI 0.20~0.46)が低かった.通常治療群の 2 例が,無作為化後 4 週間以内に,研究者が試験参加とは関係がないと判定した原因で死亡した.

結 論

プライマリケア診療所における,COPD の増悪に対する CRP を指針とした抗菌薬処方によって,抗菌薬使用を報告した患者と臨床医から抗菌薬処方を受けた患者の割合が低下し,害があることは示されなかった.(英国国立医療研究機構 医療技術評価プログラムから研究助成を受けた.PACE 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN24346473)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 111 - 20. )