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October 31, 2019 Vol. 381 No. 18

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1 型糖尿病におけるクローズドループコントロールの 6 ヵ月間の無作為化多施設共同試験
Six-Month Randomized, Multicenter Trial of Closed-Loop Control in Type 1 Diabetes

S.A. Brown and Others

背景

インスリン送達を自動化するクローズドループシステムは,1 型糖尿病患者の血糖転帰を改善する可能性がある.

方 法

6 ヵ月間の無作為化多施設共同試験で,1 型糖尿病患者を,クローズドループシステムによる治療を受ける群(クローズドループ群)と,センサー付きインスリンポンプによる治療を受ける群(対照群)に 2:1 の割合で割り付けた.主要転帰は,持続血糖モニタリングで測定した血糖値が目標の 70~180 mg/dL(3.9~10.0 mmol/L)の範囲内であった時間の割合とした.

結 果

168 例が無作為化され,112 例がクローズドループ群,56 例が対照群に割り付けられた.患者の年齢は 14~71 歳であり,糖化ヘモグロビン値は 5.4~10.6%であった.168 例全例が試験を完了した.血糖値が目標範囲内であった時間の割合の平均(±SD)は,クローズドループ群ではベースラインの 61±17%から 6 ヵ月間で 71±12%に上昇したのに対し,対照群では 59±14%から変化しなかった(補正後の差の平均 11 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 9~14,P<0.001).主な副次的転帰(血糖値が 180 mg/dL を超えていた時間の割合,平均血糖値,糖化ヘモグロビン値,血糖値が 70 mg/dL 未満であった時間の割合,血糖値が 54 mg/dL [3.0 mmol/L] 未満であった時間の割合)の結果はすべて,事前に規定した階層的な有意性の基準を満たし,クローズドループシステムのほうが良好であることを示した.血糖値が 70 mg/dL 未満であった時間の割合の差の平均(クローズドループ群-対照群)は -0.88 パーセントポイント(95% CI -1.19~-0.57)であった(P<0.001).6 ヵ月後の糖化ヘモグロビン値の補正後の差の平均は -0.33 パーセントポイント(95% CI -0.53~-0.13)であった(P=0.001).クローズドループ群で,システムがクローズドループモードであった時間の割合の中央値は 6 ヵ月間を通して 90%であった.いずれの群でも重篤な低血糖イベントは発現せず,クローズドループ群では糖尿病ケトアシドーシスが 1 件発現した.

結 論

1 型糖尿病患者を対象とした 6 ヵ月間の試験で,クローズドループシステムの使用は,センサー付きインスリンポンプの使用と比較して,血糖値が目標範囲内であった時間の割合が高いことに関連していた.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所から研究助成を受けた.iDCL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03563313)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 1707 - 17. )