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December 5, 2019 Vol. 381 No. 23

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大腿骨近位部骨折に対する人工股関節全置換術と半関節形成術との比較
Total Hip Arthroplasty or Hemiarthroplasty for Hip Fracture

The HEALTH Investigators

背景

世界的に,大腿骨近位部骨折は成人における障害の原因の上位 10 位に入る.転位型大腿骨頸部骨折に対して,半関節形成術と比較した人工股関節全置換術の有効性は依然はっきりしていない.

方 法

50 歳以上の転位型大腿骨頸部骨折患者 1,495 例を,人工股関節全置換術を受ける群と半関節形成術を受ける群に無作為に割り付けた.登録した患者は全例,骨折受傷前は他者の介助なしで歩行が可能であった.試験は 10 ヵ国 80 施設で行われた.主要エンドポイントは,24 ヵ月の追跡期間中の股関節の 2 回目の処置とした.副次的エンドポイントは,死亡,重篤な有害事象,股関節関連合併症,健康関連 QOL,機能,健康指標全般などとした.

結 果

主要エンドポイントは,人工股関節全置換術に無作為に割り付けられた 718 例中 57 例(7.9%)と,半関節形成術に無作為に割り付けられた 723 例中 60 例(8.3%)に発生した(ハザード比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.64~1.40,P=0.79).股関節不安定性または股関節脱臼は,人工股関節全置換術群の 34 例(4.7%)と,半関節形成術群の 17 例(2.4%)に発生した(ハザード比 2.00,95% CI 0.97~4.09).ウエスタンオンタリオ大学・マクマスター大学変形性関節症指数(WOMAC)の総スコア,疼痛スコア,拘縮スコア,機能スコアで測定した機能は,人工股関節全置換術群のほうが半関節形成術群よりもわずかに良好であった.死亡率は 2 群で同程度であった(人工股関節全置換術群 14.3%と半関節形成術群 13.1%,P=0.48).重篤な有害事象は,人工股関節全置換術群の 300 例(41.8%)と,半関節形成術群の 265 例(36.7%)に発現した.

結 論

受傷前に独立歩行が可能であった転位型大腿骨頸部骨折患者では,人工股関節全置換術に無作為に割り付けられた患者と半関節形成術に無作為に割り付けられた患者とで,2 回目の処置の発生率に有意差は認められず,人工股関節全置換術群では半関節形成術群よりも術後 24 ヵ月間の機能と QOL が良好であったが,その差は臨床的に重要ではなかった.(カナダ国立保健研究機構ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00556842)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2199 - 208. )