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December 12, 2019 Vol. 381 No. 24

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ABL キナーゼ阻害薬による治療失敗後の慢性骨髄性白血病に対するアスシミニブ
Asciminib in Chronic Myeloid Leukemia after ABL Kinase Inhibitor Failure

T.P. Hughes and Others

背景

アスシミニブ(asciminib)はアロステリック阻害薬であり,BCR-ABL1 蛋白のミリストイル部位に結合し,他のすべての ABL キナーゼ阻害薬とは異なる機序で BCR-ABL1 を不活性型立体構造に固定する.アスシミニブは野生型 BCR-ABL1 と変異型 BCR-ABL1(T315I ゲートキーパー変異体を含む)の両方を標的とする.フィラデルフィア染色体陽性白血病患者におけるアスシミニブの安全性と抗白血病活性は明らかにされていない.

方 法

第 1 相用量漸増試験において,前治療薬の ATP 競合型チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)2 種類以上に抵抗性を示したか忍容できない副作用が生じた慢性骨髄性白血病(CML)の慢性期の患者 141 例と移行期の患者 9 例を登録した.主要目的は,アスシミニブの最大耐用量または推奨用量,あるいはその両方を決定することであった.アスシミニブ(10~200 mg)を 1 日 1 回または 2 回投与した.追跡期間の中央値は 14 ヵ月であった.

結 果

患者には複数の治療歴があり,70%(150 例中 105 例)が 3 種類以上の TKI の投与を受けていた.アスシミニブは最大耐用量に達しなかった.慢性期 CML 患者のうち,ベースラインで血液学的再発を認めた患者の 34 例(92%)で血液学的完全奏効が得られ,ベースラインで細胞遺伝学的完全奏効が得られなかった患者の 31 例(54%)で細胞遺伝学的完全奏効が得られた.評価しえた患者の 48%で 12 ヵ月までに分子遺伝学的著効が達成または維持され,これにはポナチニブに抵抗性を示したか忍容できない副作用が生じたと考えられた 14 例中 8 例(57%)も含まれた.ベースラインで T315I 変異を有していた患者では,5 例(28%)で 12 ヵ月までに分子遺伝学的著効が達成または維持された.治療効果は持続的であり,分子遺伝学的著効は 44 例中 40 例で維持された.用量制限毒性として,症状を伴わないリパーゼ上昇,臨床的膵炎などがあった.頻度の高かった有害事象は,疲労,頭痛,関節痛,血圧上昇,血小板減少などであった.

結 論

アスシミニブは,複数の治療歴があり,TKI に抵抗性を示すか忍容できない副作用が生じた CML 患者において活性を示した.これには,ポナチニブによる治療が失敗した患者と T315I 変異を有する患者が含まれた.(ノバルティス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02081378)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2315 - 26. )