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December 26, 2019 Vol. 381 No. 26

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ビタミン D 欠乏状態にある重篤患者に対する早期高用量ビタミン D3 投与
Early High-Dose Vitamin D3 for Critically Ill, Vitamin D–Deficient Patients

The National Heart, Lung, and Blood Institute PETAL Clinical Trials Network

背景

ビタミン D 欠乏は,重篤患者における障害と死亡の寄与因子として頻度が高いが,可逆的である可能性がある.重篤な急性疾患に対するビタミン D 投与の利益の可能性をさらに検討する必要がある.

方 法

重篤で死亡のリスクが高く,ビタミン D 欠乏状態にある患者に対する早期ビタミン D3 投与について,無作為化二重盲検プラセボ対照第 3 相試験を行った.無作為化は,集中治療室への入室決定後 12 時間以内に行われた.適格患者はビタミン D3 540,000 IU またはマッチさせたプラセボの単回経腸投与を受けた.主要エンドポイントは,死亡場所を問わない 90 日全死因死亡率とした.

結 果

1,360 例が,ポイントオブケアスクリーニング中にビタミン D 欠乏が認められ無作為化された.このうち 1,078 例が,その後の検査でベースライン時にビタミン D 欠乏(25-ヒドロキシビタミン D 値 20 ng/mL [50 nmol/L] 未満)であったことが確認され,主要解析集団に組み入れられた.3 日目の 25-ヒドロキシビタミン D 値の平均は,ビタミン D 群 46.9±23.2 ng/mL(117±58 nmol/L),プラセボ群 11.4±5.6 ng/mL(28±14 nmol/L)であった(差 35.5 ng/mL,95%信頼区間 [CI] 31.5~39.6).90 日死亡率は,ビタミン D 群 23.5%(531 例中 125 例),プラセボ群 20.6%(528 例中 109 例)であった(差 2.9 パーセントポイント,95% CI -2.1~7.9,P=0.26).副次的な臨床的,生理学的,安全性のエンドポイントについて,2 群間で臨床的に重要な差は認められなかった.ベースライン時のビタミン D 欠乏の重症度は,治療割付けと死亡率のあいだの関連に影響しなかった.

結 論

ビタミン D 欠乏状態にある重篤患者において,高用量ビタミン D3 の早期の経腸投与は,90 日死亡率やその他の非致死的アウトカムについて,プラセボを上回る利益をもたらさなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.VIOLET 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03096314)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2529 - 40. )