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August 15, 2019 Vol. 381 No. 7

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1 型糖尿病のリスクがある親族における抗 CD3 抗体テプリズマブ
An Anti-CD3 Antibody, Teplizumab, in Relatives at Risk for Type 1 Diabetes

K.C. Herold and Others

背景

1 型糖尿病は,インスリン産生β細胞を破壊し,生存するために外因性インスリン依存状態にする慢性自己免疫疾患である.一部の介入により,1 型糖尿病患者のインスリン産生低下が遅延することが示されているが,診断される前の臨床的進展に影響を及ぼすような介入が必要とされている.

方 法

1 型糖尿病患者の親族で,糖尿病ではないが臨床的糖尿病のリスクが高い人を対象に,テプリズマブ(teplizumab)(Fc 受容体非結合性抗 CD3 モノクローナル抗体)の第 2 相無作為化プラセボ対照二重盲検試験を行った.参加者をテプリズマブ群とプラセボ群に無作為に割り付け,14 日間の投与を 1 コース行い,6 ヵ月間隔の経口ブドウ糖負荷試験で臨床的 1 型糖尿病への進展を追跡した.

結 果

76 例(18 歳以下は 55 例 [72%])が無作為化され,44 例がテプリズマブ群,32 例がプラセボ群に割り付けられた.1 型糖尿病と診断されるまでの期間の中央値は,テプリズマブ群 48.4 ヵ月,プラセボ群 24.4 ヵ月であり,診断されたのはテプリズマブの投与を受けた参加者の 19 例(43%)とプラセボの投与を受けた参加者の 23 例(72%)であった.1 型糖尿病診断のハザード比(テプリズマブ 対 プラセボ)は 0.41(95%信頼区間 0.22~0.78)であった(補正後の Cox 比例ハザードモデルによる P=0.006).糖尿病の年間診断率は,テプリズマブ群 14.9%/年,プラセボ群 35.9%/年であった.予期された有害事象として皮疹と一過性のリンパ球減少が認められた.KLRG1+TIGIT+CD8+T 細胞の頻度は,テプリズマブ群のほうがプラセボ群よりも高かった.HLA-DR3 陰性,HLA-DR4 陽性,抗亜鉛トランスポーター 8 抗体陰性の参加者では,テプリズマブ群のほうがプラセボ群よりも糖尿病と診断された参加者が少なかった.

結 論

テプリズマブにより,高リスク者の臨床的 1 型糖尿病への進展が遅延した.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01030861)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 603 - 13. )