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August 22, 2019 Vol. 381 No. 8

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虚血性心筋症における心筋生存能と長期転帰
Myocardial Viability and Long-Term Outcomes in Ischemic Cardiomyopathy

J.A. Panza and Others

背景

血行再建術の利益を受ける可能性のある虚血性心筋症患者の特定における,心筋生存能評価の役割については議論が続いている.さらに,左室機能の改善が血行再建の目標の 1 つであるが,その後の転帰との関連は不明である.

方 法

冠動脈バイパス手術(CABG)の施行が可能な冠動脈疾患を有する,左室駆出率 35%以下の患者 601 例を対象に,単一光子放射断層撮影(SPECT)またはドブタミン負荷心エコー検査,あるいはその両方を用いて心筋生存能を前向きに評価した.患者を,CABG と薬物治療を受ける群と,薬物治療のみを受ける群に無作為に割り付けた.左室駆出率は,ベースライン時と追跡 4 ヵ月後に 318 例で測定された.主要評価項目は全死因死亡とした.追跡期間の中央値は 10.4 年であった.

結 果

CABG+薬物治療群では,全死因死亡の発生率が薬物治療単独群よりも低かった(CABG 群 298 例中 182 例 対 薬物治療群 303 例中 209 例,補正ハザード比 0.73,95%信頼区間 0.60~0.90).しかし,心筋生存能の有無と,CABG+薬物治療の薬物治療単独を上回る有益な作用に,有意な交互作用は認められなかった(交互作用の P=0.34).心筋生存能を有する患者でのみ,治療割付けにかかわらず左室駆出率の増加が認められた.左室駆出率の変化とその後の死亡とのあいだに関連は認められなかった.

結 論

この試験の知見は,心筋生存能は虚血性心筋症患者に対する CABG の長期利益と関連するという概念を支持しない.生存可能な心筋の存在は,治療法にかかわらず左室収縮能の改善と関連することが認められたが,その改善は長期生存とは関連しなかった.( 米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.STICH 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00023595)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 739 - 48. )