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March 12, 2020 Vol. 382 No. 11

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不十分なワクチン接種の帰結 ― ニューヨーク市における 2018~19 年の麻疹集団発生
Consequences of Undervaccination — Measles Outbreak, New York City, 2018–2019

J.R. Zucker and Others

背景

米国では 2000 年に麻疹排除が宣言されたが,海外からの輸入による集団発生のリスクは依然としてある.ニューヨーク市における麻疹の集団発生は,ワクチン未接種児 1 人が麻疹に罹患してイスラエルから帰国すると始まった.この児に発疹が出現したのは 2018 年 9 月 30 日で,帰国から 9 日後であった.

方 法

麻疹が疑われる症例について,問診,診療録と予防接種記録の再検討,接触者の特定,診断のための検査を行い調査した.麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチン(MMR または麻疹・流行性耳下腺炎・風疹・水痘ワクチンとして投与するもので,あわせて MMR ワクチンと呼ぶ)の接種は,全市予防接種登録を用いてモニタリングした.ニューヨーク市保健精神衛生局が負担した直接費用の総額を算出した.

結 果

649 例の麻疹が確認され,発疹が出現した期間は 2018 年 9 月 30 日~2019 年 7 月 15 日であった.患者の大部分(93.4%)は正統派ユダヤ教徒コミュニティに属しており,473 例(72.9%)はニューヨーク市ブルックリン区のウィリアムズバーグ地区に居住していた.年齢の中央値は 3 歳であった.患者の 81.2%は 18 歳以下であり,予防接種歴が判明していた患者の 85.8%は未接種であった.重篤な合併症として肺炎(37 例 [5.7%]),入院(49 例 [7.6%])などがあり,入院した患者のうち 20 例(40.8%)が集中治療室に入室した.ワクチン接種を推進する取組みの結果,ウィリアムズバーグで MMR ワクチンの接種を少なくとも 1 回受けた小児の割合が,生後 12~59 ヵ月児のあいだで 79.5%から 91.1%に増加した.2019 年 9 月 9 日の時点で,保健精神衛生局の職員 559 人(機関全体の 7%)が麻疹への対応に関与した.保健精神衛生局による対応にかかった費用は 840 万ドルであった.

結 論

幼児のあいだでの麻疹の輸入とワクチン接種の遅れにより,ニューヨーク市における麻疹の集団発生が起こった.集団発生への対応は集中的な資源を必要とし,重篤な疾患を,とくにワクチン未接種の小児に引き起こした.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1009 - 17. )