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May 28, 2020 Vol. 382 No. 22

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転移性去勢抵抗性前立腺癌に対するオラパリブ
Olaparib for Metastatic Castration-Resistant Prostate Cancer

J. de Bono and Others

背景

相同組換え修復などの DNA 修復に関与する遺伝子における複数の機能喪失変異は,前立腺癌やその他の癌患者のポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害への反応に関連している.

方 法

転移性去勢抵抗性前立腺癌を有し,新規のホルモン療法薬(エンザルタミドまたはアビラテロン)の投与中に病勢進行が認められた男性を対象に,PARP 阻害薬オラパリブを評価する無作為化非盲検第 3 相試験を行った.全例が,相同組換え修復に直接的または間接的に関与する,事前に指定した遺伝子に,条件を満たす変異を有していた.コホート A(245 例)は BRCA1BRCA2ATM に少なくとも 1 つの変異を有し,コホート B(142 例)はその他の 12 個の事前に指定した遺伝子のいずれかに変異を有していた.変異は,腫瘍組織の前向きな中央判定により評価した.患者を,オラパリブを投与する群と医師の選択でエンザルタミドまたはアビラテロンを投与する群(対照群)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントはコホート A の画像評価に基づく無増悪生存期間とし,盲検下での独立した中央判定により評価した.

結 果

コホート A では,画像評価に基づく無増悪生存期間はオラパリブ群のほうが対照群よりも有意に長く(中央値 7.4 ヵ月 対 3.6 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.34,95%信頼区間 0.25~0.47,P<0.001),客観的奏効割合と疼痛増強までの期間にも有意な利益が認められた.コホート A の全生存期間の中央値は,オラパリブ群で 18.5 ヵ月,対照群で 15.1 ヵ月であり,対照群で進行が認められた患者の 81%がオラパリブ投与にクロスオーバーした.集団全体(コホート A と B)でも,画像評価に基づく無増悪生存期間に関して,オラパリブに有意な利益が認められた.オラパリブの投与を受けた患者に認められた主な毒性は,貧血と悪心であった.

結 論

転移性去勢抵抗性前立腺癌を有し,エンザルタミドまたはアビラテロンの投与中に病勢進行が認められ,相同組換え修復に関与する遺伝子に変異を有する男性において,オラパリブの投与は,エンザルタミドまたはアビラテロンの投与と比較して,無増悪生存期間が長いことと,反応の指標と患者報告エンドポイントが良好であることに関連していた.(アストラゼネカ社,メルク シャープ&ドーム社から研究助成を受けた.PROfound 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02987543)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 2091 - 102. )