The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

June 18, 2020 Vol. 382 No. 25

レニン–アンジオテンシン–アルドステロン系拮抗薬と Covid-19 のリスク
Renin–Angiotensin–Aldosterone System Blockers and the Risk of Covid-19

G. Mancia and Others

背景

アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)とアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の使用が新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のリスクと関連する可能性について,十分な研究は行われていない.

方 法

イタリアのロンバルディア地方で住民ベースの症例対照研究を行った.2020 年 2 月 21 日~3 月 11 日に重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染が確定された症例患者 6,272 例を,地域保健サービス(Regional Health Service)の受益者 30,759 例(対照)と性,年齢,居住する自治体でマッチさせた.特定の薬剤の使用に関する情報と患者の臨床プロファイルを地域の医療利用データベースから取得した.薬剤と感染との関連のオッズ比と 95%信頼区間を,交絡因子で調整してロジスティック回帰法により推定した.

結 果

症例患者,対照ともに平均(±SD)年齢は 68±13 歳であり,37%が女性であった.ACE 阻害薬,ARB の使用は症例患者のほうが対照よりも多く,その他の降圧薬,降圧薬以外の薬剤の使用についても同様であり,症例患者は臨床プロファイルがより不良であった.ARB または ACE 阻害薬の使用と Covid-19 との関連は症例患者全体では示されず(補正オッズ比:ARB で 0.95 [95%信頼区間 {CI} 0.86~1.05],ACE 阻害薬で 0.96 [95% CI 0.87~1.07]),重症または致死的経過をとった患者でも示されず(補正オッズ比:ARB で 0.83 [95% CI 0.63~1.10],ACE 阻害薬で 0.91 [95% CI 0.69~1.21]),性別での解析でもこれらの変数のあいだの関連は認められなかった.

結 論

この大規模な住民ベースの研究では,ACE 阻害薬と ARB の使用は Covid-19 患者のほうが対照よりも多く,これは心血管疾患の有病率が Covid-19 患者のほうが高いためであった.しかし ACE 阻害薬,ARB が Covid-19 のリスクに影響を及ぼすというエビデンスは認められなかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 2431 - 40. )