24 時間シフトのない研修医スケジュールが患者の安全性に及ぼす影響
Effect on Patient Safety of a Resident Physician Schedule without 24-Hour Shifts
C.P. Landrigan and Others
研修医の長時間の勤務シフトをなくすことが患者の安全性に及ぼす影響については,議論が続いている.
多施設共同クラスター無作為化クロスオーバー試験を行い,小児科研修医の集中治療室(ICU)ローテーション中のスケジュールとして,24 時間以上のシフトを含む長時間勤務スケジュール(対照スケジュール)と,長時間のシフトをなくし,16 時間以下の日勤・夜勤のシフトを繰り返すスケジュール(介入スケジュール)の 2 つを比較した.主要転帰は研修医が起こした重大な医療過誤とし,直接観察と診療録レビューを含む強化サーベイランスにより評価した.
2 つの勤務スケジュール中の ICU 患者の特性は類似していたが,研修医 1 人あたりの ICU 患者数の平均(±SD)で表した研修医の仕事量は,介入スケジュール中のほうが対照スケジュール中よりも多かった(8.8±2.8 例 対 6.7±2.2 例).研修医は,介入スケジュール中のほうが対照スケジュール中よりも重大な過誤を多く起こした(1,000 患者日あたり 97.1 件 対 79.0 件,相対リスク 1.53,95%信頼区間 [CI] 1.37~1.72,P<0.001).ICU 全体の重大な過誤も同様に介入スケジュール中のほうが多かった(1,000 患者日あたり 181.3 件 対 131.5 件,相対リスク 1.56,95% CI 1.43~1.71).しかし施設間のばらつきが大きく,過誤の発生率は 1 施設では介入スケジュール中のほうが対照スケジュール中よりも低く,2 施設では 2 つのスケジュール中は同程度で,3 施設では介入スケジュール中のほうが対照スケジュール中よりも高かった.研修医 1 人あたりの患者数を可能性のある交絡因子として補正した副次的解析では,介入スケジュールと過誤の増加との関連はみられなかった.
われわれの仮説に反し,長時間シフトをなくしたスケジュールに無作為に割り付けられた研修医のほうが,長時間シフトのあるスケジュールに割り付けられた研修医よりも重大な過誤を多く起こしたが,その影響は施設によって異なった.個々の研修医が診療した ICU 患者数は,長時間シフトをなくしたスケジュール中のほうが多かった.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.ROSTERS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02134847)