サハラ以南のアフリカにおける鎌状赤血球貧血に対するハイドロキシウレアの用量漸増
Hydroxyurea Dose Escalation for Sickle Cell Anemia in Sub-Saharan Africa
C.C. John and Others
サハラ以南のアフリカにおいて,鎌状赤血球貧血の小児に対するハイドロキシウレアの安全性,実施可能性,有効性が証明されており,血管閉塞性イベント発生率と死亡率の低下が先行研究で示されている.しかし,標準的な投与方法はまだ決定しておらず,最大耐用量まで漸増することで治療関連毒性を上回る臨床的利益が得られるかどうかは明らかでない.
無作為化二重盲検試験で,ハイドロキシウレアの固定用量での投与(約 20 mg/kg 体重/日)と用量漸増法による投与(約 30 mg/kg/日)を比較した.主要転帰は,24 ヵ月後のヘモグロビン値が 9.0 g/dL 以上,または胎児ヘモグロビン値が 20%以上であることとした.副次的転帰は,マラリア,血管閉塞性クリーゼ,重篤な有害事象の発生などとした.
小児にハイドロキシウレアを固定用量で投与(94 例,平均 [±SD] 年齢 4.6±1.0 歳)または用量漸増法で投与した(93 例,平均年齢 4.8±0.9 歳).用量の平均はそれぞれ 19.2±1.8 mg/kg/日と 29.5±3.6 mg/kg/日であった.用量漸増群のほうが固定用量群よりも臨床イベントが有意に少なくなった時点で,データ安全性モニタリング委員会は試験を中止した.試験終了の時点で,用量漸増群の 86%が主要転帰の閾値に達していたのに対し,固定用量群では 37%であった(P<0.001).用量漸増群の小児のほうが,鎌状赤血球に関連する有害事象(発生率比 0.43,95%信頼区間 [CI] 0.34~0.54),血管閉塞性疼痛クリーゼ(発生率比 0.43,95% CI 0.34~0.56),急性胸部症候群または肺炎(発生率比 0.27,95% CI 0.11~0.56),輸血(発生率比 0.30,95% CI 0.20~0.43),入院(発生率比 0.21,95% CI 0.13~0.34)が少なかった.検査で確認された用量制限毒性は 2 群で同程度であり,重度の好中球減少や重度の血小板減少を認めた症例はなかった.
サハラ以南のアフリカにおいて,鎌状赤血球貧血の小児にハイドロキシウレアを用量漸増法で投与したところ,固定用量での投与と比較して臨床的有効性に優れ,安全性は同等であった.(ドリス・デューク慈善財団,シンシナティ小児研究財団から研究助成を受けた.NOHARM MTD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03128515)