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日本語アブストラクト

July 9, 2020 Vol. 383 No. 2

重篤な転倒外傷を予防するための多因子戦略の無作為化試験
A Randomized Trial of a Multifactorial Strategy to Prevent Serious Fall Injuries

S. Bhasin and Others

背景

転倒外傷は,高齢者における合併症と死亡に大きく寄与している.効能に関する試験から,転倒の多くは予防が可能というエビデンスがあるにもかかわらず,外傷にいたる転倒の発生率は低下していない.

方 法

実用的クラスター無作為化試験で,専門の訓練を受けた看護師が実施するリスク評価と個別の計画を含む,転倒外傷を予防するための多因子介入の効果を評価した.10 の医療システムに属するプライマリケア診療所 86 施設を,試験介入と,強化した通常のケア(対照)に無作為に割り付けた(各群 43 施設).参加者は,転倒外傷のリスクが高い,70 歳以上の地域在住者であった.主要転帰は初回の重篤な転倒外傷とし,参加者による報告,電子診療録,請求データを用いて判定し,生存時間(time-to-event)解析で評価した.イベントの発生率は介入群のほうが対照群よりも 20%低くなるという仮説を立てた.

結 果

参加者の人口統計学的特性とベースライン特性は介入群(2,802 例)と対照群(2,649 例)で類似しており,平均年齢は 80 歳で,62.0%が女性であった.生存時間解析による評価では,重篤な転倒外傷と判定された初回イベントの発生率に群間で有意差は認められなかった(追跡期間 100 人年あたりのイベント数は介入群 4.9 件と対照群 5.3 件,ハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.80~1.06,P=0.25).参加者が報告した初回転倒外傷の発生率は,介入群で追跡期間 100 人年あたり 25.6 件,対照群で 28.6 件であった(ハザード比 0.90,95% CI 0.83~0.99,P=0.004).入院率と死亡率は 2 群で同程度であった.

結 論

看護師が実施する多因子介入は,強化した通常のケアと比較して,重篤な転倒外傷と判定された初回イベントの発生率を有意には低下させなかった.(患者中心のアウトカム研究所ほかから研究助成を受けた.STRIDE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02475850)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 129 - 40. )