October 1, 2020 Vol. 383 No. 14
HPV ワクチン接種と浸潤性子宮頸癌のリスク
HPV Vaccination and the Risk of Invasive Cervical Cancer
J. Lei and Others
子宮頸部高度異形成の予防における 4 価ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンの効能と効果は,これまでに示されてきた.しかし,4 価 HPV ワクチン接種と接種後の浸潤性子宮頸癌のリスクとの関連を示すデータはない.
スウェーデンの人口統計と保健に関する全国規模の登録を用いて,2006~17 年に経時的に登録された 10~30 歳の女児・女性集団のうち,1,672,983 人を対象に追跡した.追跡調査時の年齢,暦年,居住県,親の特性(学歴,世帯所得,母親の出生国,母親の病歴など)で調整し,HPV ワクチン接種と浸潤性子宮頸癌のリスクとの関連を評価した.
研究期間中,女児・女性の子宮頸癌を 31 歳の誕生日まで評価した.子宮頸癌は,4 価 HPV ワクチンの接種を受けた 19 人,ワクチン接種を受けなかった 538 人で診断された.子宮頸癌の累積発生率は,ワクチン接種を受けた女性では 100,000 人あたり 47 件,受けなかった女性では 100,000 人あたり 94 件であった.追跡調査時の年齢で補正すると,ワクチン接種集団の非接種集団に対する発生率比は 0.51(95%信頼区間 [CI] 0.32~0.82)であった.他の共変量でさらに補正すると,発生率比は 0.37(95% CI 0.21~0.57)であった.すべての共変量で補正すると,発生率比は,ワクチン接種を 17 歳になる前に受けた女性で 0.12(95% CI 0.00~0.34),17~30 歳で受けた女性で 0.47(95% CI 0.27~0.75)であった.
スウェーデンの 10~30 歳の女児・女性において,4 価 HPV ワクチン接種は,人口レベルでの浸潤性子宮頸癌のリスクが大幅に低いことと関連した.(スウェーデン戦略研究財団ほかから研究助成を受けた.)