The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

October 8, 2020 Vol. 383 No. 15

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

慢性腎臓病患者に対するダパグリフロジン
Dapagliflozin in Patients with Chronic Kidney Disease

H.J.L. Heerspink and Others

背景

慢性腎臓病(CKD)患者は腎臓および心血管の有害転帰のリスクが高い.ダパグリフロジンが 2 型糖尿病を有する CKD 患者,有しない CKD 患者にもたらす効果は明らかにされていない.

方 法

推算糸球体濾過量(GFR)が 25~75 mL/分/1.73 m2 体表面積で,尿中アルブミン/クレアチニン比(mg/g クレアチニン)が 200~5,000 の患者 4,304 例を,ダパグリフロジン(10 mg 1 日 1 回)群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要転帰は,推算 GFR の 50%以上の低下の持続,末期腎不全(ESKD),腎臓または心血管系が原因の死亡の複合とした.

結 果

独立データモニタリング委員会は,有効性が認められたため試験の中止を勧告した.追跡期間中央値 2.4 年間に,主要転帰イベントはダパグリフロジン群 2,152 例中 197 例(9.2%)とプラセボ群 2,152 例中 312 例(14.5%)に発生した(ハザード比 0.61,95%信頼区間 [CI] 0.51~0.72,P<0.001,1 件の主要転帰イベントを予防するための治療必要数 19 [95% CI 15~27]).推算 GFR の 50%以上の低下の持続,ESKD,腎臓が原因の死亡の複合のハザード比は 0.56(95% CI 0.45~0.68,P<0.001),心血管系が原因の死亡または心不全による入院の複合のハザード比は 0.71(95% CI 0.55~0.92,P=0.009)であった.ダパグリフロジン群の 101 例(4.7%)とプラセボ群の 146 例(6.8%)が死亡した(ハザード比 0.69,95% CI 0.53~0.88,P=0.004).ダパグリフロジンの効果は,2 型糖尿病を有する患者と有しない患者とで同程度であった.ダパグリフロジンの既知の安全性プロファイルが確認された.

結 論

CKD 患者では,糖尿病の有無にかかわらず,推算 GFR の 50%以上の低下の持続,ESKD,腎臓または心血管系が原因の死亡の複合リスクは,ダパグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも有意に低かった.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.DAPA-CKD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03036150)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1436 - 46. )