関節リウマチの再燃を予測する PRIME 細胞の RNA による同定
RNA Identification of PRIME Cells Predicting Rheumatoid Arthritis Flares
D.E. Orange and Others
関節リウマチは,多くの炎症性疾患と同様,寛解と増悪(再燃)を繰り返すことを特徴とする.再燃につながる分子イベントは明らかにされていない.
関節リウマチ患者の経時的な RNA 配列解析(RNA-seq)を可能とする,自宅で繰り返し採血するための臨床的・技術的プロトコルを確立した.検体は,指標とした 1 例では 4 年間で 8 回の再燃中の 364 時点,別の 3 例では再燃中の 235 時点で採取された.再燃前に発現に違いが認められた転写産物を同定し,滑膜の 1 細胞 RNA-seq のデータと比較した.得られた知見の妥当性を検証するため,別の患者で,フローサイトメトリーで選別した血液細胞の RNA-seq を行った.
関節リウマチの再燃前の 1~2 週間に,血液の転写プロファイルに一貫した変化が観察された.関節リウマチ患者の血液中では,B 細胞の活性化後,循環する CD45–CD31–PDPN+の前炎症性間葉(PRIME)細胞が増加した.これらの細胞の特徴は,炎症性滑膜線維芽細胞と共通していた.循環血中の PRIME 細胞は,4 例全例で再燃中に減少し,別の 19 例の関節リウマチ患者では,フローサイトメトリーで選別した細胞の RNA-seq によって PRIME 細胞の存在が確認された.
関節リウマチの再燃の経時的なゲノム解析により,再燃前の時期には血中に PRIME 細胞が存在することが明らかになり,これらの細胞は再燃前の数週間に B 細胞によって活性化され,その後血中から滑膜に移動するというモデルが示唆された.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)