September 3, 2020 Vol. 383 No. 10
MET エクソン 14 スキッピング変異を有する非小細胞肺癌に対するテポチニブ
Tepotinib in Non–Small-Cell Lung Cancer with MET Exon 14 Skipping Mutations
P.K. Paik and Others
非小細胞肺癌(NSCLC)患者の 3~4%で,発癌のドライバー遺伝子 MET のエクソン 14 にスプライス部位変異が生じており,これにより転写が欠失する.この患者集団を対象に,高選択性 MET 阻害薬であるテポチニブの有効性と安全性を評価した.
非盲検第 2 相試験で,MET エクソン 14 スキッピング変異が確認された進行または転移性の NSCLC 患者にテポチニブ(500 mg)を 1 日 1 回投与した.主要エンドポイントは,9 ヵ月以上追跡された患者における,独立判定機関の判定による客観的奏効とした.奏効は,MET エクソン 14 スキッピング変異の検出方法がリキッドバイオプシーか組織生検かによる解析も行った.
2020 年 1 月 1 日の時点で,152 例がテポチニブの投与を受け,99 例が 9 ヵ月以上追跡された.リキッドバイオプシーと組織生検を統合した群における独立判定機関の判定による奏効割合は 46%(95%信頼区間 [CI] 36~57)であり,奏効期間の中央値は 11.1 ヵ月(95% CI 7.2~推定不能)であった.リキッドバイオプシー群 66 例における奏効割合は 48%(95% CI 36~61),組織生検群 60 例における奏効割合は 50%(95% CI 37~63)であった.27 例は両方の生検で陽性であった.試験担当医師の評価による奏効割合は 56%(95% CI 45~66)であり,進行または転移性の NSCLC に対する前治療にかかわらず同程度であった.試験担当医師がテポチニブに関連すると判定したグレード 3 以上の有害事象は患者の 28%に発現し,グレード 3 以上の末梢性浮腫は 7%に発現した.患者の 11%でテポチニブは永久に中止された.循環血中遊離 DNA で評価した分子学的奏効は,ベースラインと投与中のリキッドバイオプシー検体がマッチした患者の 67%に認められた.
MET エクソン 14 スキッピング変異が確認された進行 NSCLC 患者において,テポチニブの使用は,患者の約半数における部分奏効に関連していた.グレード 3 以上の主な毒性は末梢性浮腫であった.(メルク社 [ドイツ,ダルムシュタット] から研究助成を受けた.VISION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02864992)