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January 14, 2021 Vol. 384 No. 2

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収縮期心不全に対するオメカムチブ メカルビルによる心筋ミオシンの活性化
Cardiac Myosin Activation with Omecamtiv Mecarbil in SystolicHeart Failure

J.R. Teerlink and Others

背景

選択的心筋ミオシン活性化薬であるオメカムチブ メカルビル(omecamtiv mecarbil)は,駆出率が低下した心不全患者の心機能を改善することが示されている.心血管転帰に対する効果は明らかにされていない.

方 法

症候性慢性心不全で駆出率が 35%以下の患者(入院患者と外来患者)8,256 例を,標準的な心不全治療に加えて,オメカムチブメカルビル(薬物動態に基づき 25 mg,37.5 mg,50 mg のいずれかを 1 日 2 回)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,初回心不全イベント(心不全による入院・緊急受診)または心血管死の複合とした.

結 果

中央値で 21.8 ヵ月間に,主要転帰イベントはオメカムチブ メカルビル群 4,120 例中 1,523 例(37.0%)と,プラセボ群 4,112 例中 1,607 例(39.1%)に発生した(ハザード比 0.92,95%信頼区間 [CI] 0.86~0.99,P=0.03).それぞれ 808 例(19.6%)と 798 例(19.4%)が心血管系の原因により死亡した(ハザード比 1.01,95% CI 0.92~1.11).カンザスシティ心筋症質問票総症状スコアのベースラインからの変化量には,群間で有意差は認められなかった.24 週の時点で,オメカムチブ メカルビル群ではプラセボ群と比較して,脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体 N 端フラグメント(NT-proBNP)の中央値のベースラインからの変化量が 10%低く,心筋トロポニン I の中央値のベースラインからの変化量が 4 ng/L 高かった.心虚血イベントと心室性不整脈イベントの頻度は 2 群で同程度であった.

結 論

駆出率が低下した心不全患者のうち,オメカムチブ メカルビルの投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者と比較して心不全イベントと心血管死の複合発生率が低かった.(アムジェン社ほかから研究助成を受けた.GALACTIC-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02929329,EudraCT 登録番号 2016-002299-28)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 105 - 16. )