The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 14, 2021 Vol. 384 No. 2

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心不全が最近増悪した糖尿病患者に対するソタグリフロジン
Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Recent WorseningHeart Failure

D.L. Bhatt and Others

背景

ナトリウム–グルコース共輸送体 2(SGLT2)阻害薬は,安定した心不全患者の心不全による入院または心血管死のリスクを低減させる.しかし,非代償性心不全のエピソード後早期に SGLT2 阻害薬を開始した場合の安全性と有効性は明らかにされていない.

方 法

多施設共同二重盲検試験で,心不全の増悪により最近入院した 2 型糖尿病患者を,ソタグリフロジン(sotagliflozin)の投与を受ける群とプラセボの投与を受ける群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,心血管死と心不全による入院・緊急受診(初回および 2 回目以降のイベント)の総数とした.試験依頼者から研究助成が得られなくなったため,試験は早期に終了された.

結 果

1,222 例が無作為化され(ソタグリフロジン群 608 例,プラセボ群 614 例),中央値で 9.0 ヵ月間追跡された.ソタグリフロジンまたはプラセボの初回投与は,48.8%では退院前に行われ,51.2%では退院後中央値で 2 日の時点で行われた.これらの患者で主要エンドポイントのイベントは 600 件発生した(ソタグリフロジン群 245 件,プラセボ群 355 件).主要エンドポイントのイベントの発生率(100患者年あたりの件数)は,ソタグリフロジン群のほうがプラセボ群よりも低かった(51.0 件 対 76.3 件,ハザード比 0.67,95%信頼区間 [CI] 0.52~0.85,P<0.001).心血管死の発生率はソタグリフロジン群 10.6件,プラセボ群 12.5 件であり(ハザード比 0.84,95% CI 0.58~1.22),全死因死亡の発生率はソタグリフロジン群 13.5 件,プラセボ群 16.3件であった(ハザード比 0.82,95% CI 0.59~1.14).下痢がソタグリフロジン群でプラセボ群よりも多く発現し(6.1% 対 3.4%),重症低血糖についても同様であった(1.5% 対 0.3%).低血圧が発現した患者の割合はソタグリフロジン群とプラセボ群で同程度であり(それぞれ 6.0%,4.6%),急性腎障害も同程度であった(4.1%,4.4%).ソタグリフロジンによる利益は,初回投与のタイミングなどの層別化因子で事前に規定したサブグループ全体に一貫して認められた.

結 論

最近心不全が増悪した糖尿病患者において,ソタグリフロジン療法を退院前または退院後早期に開始したところ,心血管死と心不全による入院・緊急受診の総数が,プラセボと比較して有意に少なかった.(サノフィ社,レキシコン・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.SOLOIST-WHF 試験:ClinicalTrials.gov登録番号 NCT03521934)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 117 - 28. )