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January 14, 2021 Vol. 384 No. 2

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糖尿病と慢性腎臓病を有する患者に対するソタグリフロジン
Sotagliflozin in Patients with Diabetes and Chronic Kidney Disease

D.L. Bhatt and Others

背景

アルブミン尿の有無にかかわらず慢性腎臓病を有する糖尿病患者の心血管イベントの予防における,ソタグリフロジン(sotagliflozin)のようなナトリウム–グルコース共輸送体 2 阻害薬の有効性と安全性について,十分な研究はなされていない.

方 法

多施設共同二重盲検試験で,2 型糖尿病(糖化ヘモグロビン値≧7%)と慢性腎臓病(推算糸球体濾過量 25~60 mL/分/1.73 m2 体表面積)を有し,心血管疾患のリスクがある患者を,ソタグリフロジンの投与を受ける群とプラセボの投与を受ける群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは試験中に変更し,心血管死,心不全による入院,心不全による緊急受診の総数とした.研究助成を得られなくなったため,試験は早期に終了された.

結 果

スクリーニングを受けた 19,188 例のうち,10,584 例が組み入れられ,5,292 例がソタグリフロジン群,5,292 例がプラセボ群に割り付けられ,中央値で 16 ヵ月間追跡された.主要エンドポイントイベントの 100 患者年あたりの発生率は,ソタグリフロジン群で 5.6 件,プラセボ群で 7.5 件であった(ハザード比 0.74,95%信頼区間[CI] 0.63~0.88,P<0.001).心血管死の 100 患者年あたりの発生率は,ソタグリフロジン群 2.2 件,プラセボ群 2.4 件であった(ハザード比 0.90,95% CI 0.73~1.12,P=0.35).変更前の主要エンドポイントについて,心血管死・非致死的心筋梗塞・非致死的脳卒中の初回発生のハザード比は 0.84(95% CI 0.72~0.99)であり,心血管死・心不全による入院の初回発生のハザード比は 0.77(95% CI 0.66~0.91)であった.下痢,性器真菌感染症,体液量減少,糖尿病ケトアシドーシスは,ソタグリフロジン群でプラセボ群よりも多く発現した.

結 論

アルブミン尿の有無にかかわらず糖尿病と慢性腎臓病を有する患者において,ソタグリフロジンは,プラセボと比較して心血管死,心不全による入院,心不全による緊急受診の複合リスクを低下させたが,有害事象を伴った.(サノフィ社,レキシコン・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.SCORED 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03315143)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 129 - 39. )