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January 14, 2021 Vol. 384 No. 2

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メタンフェタミン使用障害に対するブプロピオンとナルトレキソンの併用
Bupropion and Naltrexone in Methamphetamine Use Disorder

M.H. Trivedi and Others

背景

メタンフェタミン使用障害の治療を目的としたナルトレキソン(naltrexone)とブプロピオン(bupropion)の併用については,十分な研究が行われていない.

方 法

逐次並行比較デザインを用いた多施設共同二重盲検 2 段階プラセボ対照試験を行い,中等度または重度のメタンフェタミン使用障害を有する成人に,徐放性注射製剤のナルトレキソン(380 mgを 3 週ごと)と徐放性経口製剤のブプロピオン(450 mg/日)を併用した場合の有効性と安全性を評価した.第 1 段階では,参加者をナルトレキソン+ブプロピオンを投与する群と,マッチさせたプラセボの注射と経口投与を行う群に 0.26:0.74 の割合で無作為に割り付け,6 週間投与した.第 1 段階で治療反応が得られなかったプラセボ群の参加者を,第 2 段階で再度無作為化し,ナルトレキソン+ブプロピオン群とプラセボ群に 1:1 の割合で割り付け,さらに 6 週間投与した.参加者から尿検体を週 2 回採取した.主要評価項目は治療反応とし,第 1 段階または第 2 段階の終了時に 4 回採取した尿検体のうち少なくとも 3 検体でメタンフェタミン陰性であることと定義した.2 段階を通した治療反応率の重み付け平均を報告する.治療効果は,重み付けした全体的な治療反応率の群間差と定義した.

結 果

第 1 段階に 403 例,第 2 段階に 225 例を組み入れた.第 1段階では,ナルトレキソン+ブプロピオン群 109 例中 18 例(16.5%)とプラセボ群 294 例中 10 例(3.4%)で治療反応が得られた.第 2 段階では,ナルトレキソン+ブプロピオン群 114 例中 13 例(11.4%)とプラセボ群 111 例中 2 例(1.8%)で治療反応が得られた.2 段階を通しての治療反応率の重み付け平均は,ナルトレキソン+ブプロピオン群 13.6%,プラセボ群 2.5%であり,全体的な治療効果は 11.1 パーセントポイント(Wald 統計量 [z 値] 4.53,P<0.001)であった.ナルトレキソン+ブプロピオンによる有害事象は胃腸障害,振戦,倦怠感,多汗,食欲不振などであった.試験期間中,重篤な有害事象がナルトレキソン+ブプロピオンを投与された 223 例中 8 例(3.6%)に発現した.

結 論

メタンフェタミン使用障害の成人に徐放性注射製剤のナルトレキソンと徐放性経口製剤のブプロピオンを併用した場合,12 週間の治療反応率は低かったが,プラセボを投与した場合と比較すると高かった.(米国国立薬物乱用研究所ほかから研究助成を受けた.ADAPT-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03078075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 140 - 53. )