The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

April 1, 2021 Vol. 384 No. 13

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

原発性高シュウ酸尿症 1 型に対する RNAi 治療薬ルマシラン
Lumasiran, an RNAi Therapeutic for Primary Hyperoxaluria Type 1

S.F. Garrelfs and Others

背景

原発性高シュウ酸尿症 1 型(PH1)は,肝臓でシュウ酸が過剰に産生されることで生じるまれな遺伝性疾患であり,腎結石,腎石灰化症,腎不全,全身性シュウ酸症を引き起こす.ルマシラン(lumasiran)は開発段階の RNA 干渉(RNAi)治療薬であり,グリコール酸オキシダーゼを標的とすることで肝臓におけるシュウ酸産生を抑制する.

方 法

二重盲検第 3 相試験で,6 歳以上の PH1 患者を,6 ヵ月間(ベースライン時,1 ヵ月,2 ヵ月,3 ヵ月,6 ヵ月時)ルマシランを皮下投与する群と,プラセボを投与する群に(2:1 の割合で)無作為に割り付けた.主要評価項目は,24 時間尿中シュウ酸排泄量のベースラインから 6 ヵ月目までの変化率(3 ヵ月目から 6 ヵ月目にかけての変化率の平均)とした.副次的評価項目は,血漿中シュウ酸値のベースラインから 6 ヵ月目までの変化率(3 ヵ月目から 6 ヵ月目にかけての変化率の平均),6 ヵ月時点での 24 時間尿中シュウ酸排泄量が正常範囲上限の 1.5 倍以下であった患者の割合などとした.

結 果

39 例が無作為化され,26 例がルマシラン群,13 例がプラセボ群に割り付けられた.24 時間尿中シュウ酸排泄量の変化率の最小二乗平均差(ルマシラン-プラセボ)は -53.5 パーセントポイントであり(P<0.001),ルマシラン群における減少率は 65.4%で,効果は 1 ヵ月時点で認められていた.階層的に検討したすべての副次的評価項目に有意な群間差が認められた.血漿中シュウ酸値の変化率の差(ルマシラン-プラセボ)は -39.5 パーセントポイントであった(P<0.001).6 ヵ月時点での 24 時間尿中シュウ酸排泄量が正常範囲上限の 1.5 倍以下であった患者の割合はルマシラン群では84%であったのに対し,プラセボ群では 0%であった(P<0.001).ルマシランによる治療を受けた患者の 38%で,軽度の一過性の注射部位反応が報告された.

結 論

ルマシランは,PH1 の進行性腎不全の原因であるシュウ酸の尿中排泄量を減少させた.ルマシランの投与を受けた患者の大多数が,6 ヵ月間の治療後に正常値またはほぼ正常値となった.(アルナイラム ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ILLUMINATE-A 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03681184)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1216 - 26. )