乾癬性関節炎に対するウパダシチニブとアダリムマブの試験
Trial of Upadacitinib and Adalimumab for Psoriatic Arthritis
I.B. McInnes and Others
ヤヌスキナーゼ阻害薬のウパダシチニブは,乾癬性関節炎の治療薬となる可能性がある.非生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬に対する反応が不十分な患者において,腫瘍壊死因子α阻害薬のアダリムマブと比較した,ウパダシチニブの有効性と安全性は明らかにされていない.
24 週間の第 3 相試験で,患者を,ウパダシチニブ 15 mg を 1 日 1 回経口投与する群,30 mg を 1 日 1 回経口投与する群,プラセボを投与する群,アダリムマブ(隔週で 40 mg)を皮下投与する群に 1:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,12 週時点での米国リウマチ学会基準による 20%改善(ACR20)(圧痛・腫脹関節数が 20%以上減少かつその他の 5 分野のうち 3 分野以上が 20%以上改善)の達成とし,ウパダシチニブとプラセボとで比較した.副次的評価項目は,ウパダシチニブとアダリムマブの比較などとした.
1,704 例が実薬またはプラセボの投与を受けた.12 週時点で ACR20 を達成した患者の割合は,ウパダシチニブ 15 mg 群 70.6%,30 mg 群 78.5%,プラセボ群 36.2%(ウパダシチニブの各用量とプラセボとの比較について P<0.001),アダリムマブ群 65.0%であった.ウパダシチニブ 15 mg 群をアダリムマブ群と比較したときの群間差は 5.6 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -0.6~11.8),ウパダシチニブ 30 mg 群をアダリムマブ群と比較したときの群間差は 13.5 パーセントポイント(95% CI 7.5~19.4)であった.12 週時点での ACR20 の達成に関して,ウパダシチニブのいずれの用量もアダリムマブに対して非劣性であり,ウパダシチニブ 30 mg はアダリムマブに対して優越性を示したが,15 mg は優越性を示さなかった.24 週までの有害事象の発現率は,ウパダシチニブ 15 mg 群 66.9%,30 mg 群 72.3%,プラセボ群 59.6%,アダリムマブ群 64.8%であった.重篤な感染症は,それぞれ 1.2%,2.6%,0.9%,0.7%に認められた.肝障害はウパダシチニブ 15 mg 群の 9.1%と 30 mg 群の 12.3%に発現したが,グレード 3 のアミノトランスフェラーゼ上昇が発現した患者の割合は全群で 2%以下であった.
12 週時点で ACR20 を達成した乾癬性関節炎患者の割合は,ウパダシチニブ 15 mg 群,30 mg 群とも,プラセボ群よりも有意に高かった.ウパダシチニブ 30 mg はアダリムマブに対して優越性を示したが,15 mg は優越性を示さなかった.有害事象の頻度はウパダシチニブ群がプラセボ群よりも高かった.(アッヴィ社から研究助成を受けた.SELECT-PsA 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03104400)