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April 15, 2021 Vol. 384 No. 15

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うつ病に対するシロシビンとエスシタロプラムとの比較試験
Trial of Psilocybin versus Escitalopram for Depression

R. Carhart-Harris and Others

背景

シロシビン(psilocybin)は抗うつ作用を有する可能性があるが,うつ病に対するシロシビンと,確立された治療との直接の比較は十分に行われていない.

方 法

長期化する中等症~重症の大うつ病性障害患者を対象とした第 2 相二重盲検無作為化比較試験で,シロシビンと,選択的セロトニン再取込み阻害薬エスシタロプラムとを,6 週の期間で比較した.患者を,シロシビン 25 mg を 3 週間隔で 2 回投与するとともに,プラセボを 6 週間連日投与する群(シロシビン群)と,シロシビン 1 mg を 3 週間隔で 2 回投与するとともに,エスシタロプラムを 6 週間連日経口投与する群(エスシタロプラム群)に 1:1 の割合で割り付けた.全例に心理的サポートを行った.主要評価項目は,「16 項目のうつ症状簡易質問票」(QIDS-SR-16;スコア範囲は 0~27 で,高いほどうつ病が重症であることを示す)のスコアの,ベースラインから 6 週目までの変化量とした.副次的評価項目は,6 週時点での QIDS-SR-16 奏効(スコアの低下>50%),QIDS-SR-16 寛解(スコア≦5 点)などの 16 項目とした.

結 果

59 例が登録され,30 例がシロシビン群,29 例がエスシタロプラム群に割り付けられた.ベースライン時の QIDS-SR-16 スコアの平均は,シロシビン群 14.5 点,エスシタロプラム群 16.4 点であった.ベースラインから 6 週目までのスコアの変化量の平均(±SE)は,シロシビン群 -8.0±1.0 ポイント,エスシタロプラム群 -6.0±1.0 ポイントであり,群間差は 2.0 ポイント(95%信頼区間 [CI] -5.0~0.9)であった(P=0.17).QIDS-SR-16 奏効は,シロシビン群の 70%,エスシタロプラム群の 48%で得られ,群間差は 22 パーセントポイント(95% CI -3~48)であった.QIDS-SR-16 寛解はそれぞれ 57%と 28%で得られ,群間差は 28 パーセントポイント(95% CI 2~54)であった.その他の副次的評価項目は全般的にシロシビン群のほうがエスシタロプラム群よりも良好であったが,これらの解析では多重比較の補正は行われなかった.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.

結 論

6 週時点での QIDS-SR-16 のうつ病スコアの変化量に基づくと,この試験では,選択された患者群において,シロシビンとエスシタロプラムの抗うつ作用に有意差は示されなかった.副次的評価項目は全般的にシロシビンのほうがエスシタロプラムよりも良好であったが,これらの評価項目の解析では多重比較の補正が行われなかった.シロシビンと確立された抗うつ薬とを比較するための,より大規模かつ長期の試験が必要である.(アレクサンダー・モズレー慈善信託,インペリアル・カレッジ・ロンドン幻覚剤研究センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号NCT03429075)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1402 - 11. )