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April 15, 2021 Vol. 384 No. 15

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全国規模の集団接種という状況下での mRNA Covid-19 ワクチン BNT162b2
BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Mass Vaccination Setting

N. Dagan and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のワクチンの集団接種が世界中で開始されるにあたり,ワクチンの有効性は,多様な集団におけるさまざまな転帰を,条件が制御されていない状況で観察して評価する必要がある.イスラエル最大の医療提供組織のデータを用いて,mRNA ワクチン BNT162b2 の有効性を評価した.

方 法

2020 年 12 月 20 日~2021 年 2 月 1 日の期間にワクチン接種を受けた人全員を,接種を受けていない人と,人口統計学的特性および臨床的特性に基づき 1:1 の割合でマッチさせた.本研究の評価項目は,検査で確認された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染,有症状の Covid-19,Covid-19 による入院,Covid-19 の重症化,Covid-19 による死亡とした.Kaplan–Meier 法を用いて,各評価項目に対するワクチンの有効性を 1 からリスク比を引いた値として推定した.

結 果

各群 596,618 人で構成された.初回接種後 14~20 日目の時点と,2 回目の接種後 7 日以上経過した時点でのワクチンの有効性は,確認された感染については 46%(95%信頼区間 [CI] 40~51)と 92%(95% CI 88~95),有症状の Covid-19 については 57%(95% CI 50~63)と 94%(95% CI 87~98),入院については 74%(95% CI 56~86)と 87%(95% CI 55~100),重症化については 62%(95% CI 39~80)と 92%(95% CI 75~100)と推定された.Covid-19 による死亡の予防における有効性は,初回接種後 14~20 日目の時点では 72%(95% CI 19~100)と推定された.特定のサブグループで,確認された感染と有症状の Covid-19 を評価したところ,有効性の推定値はすべての年齢層で同程度であり,併存疾患を複数有する人でわずかに低い可能性があることが示された.

結 論

本研究により,全国規模の集団接種という状況下での mRNA ワクチン BNT162b2 は,Covid-19 に関連するさまざまな転帰に対して有効であることが示唆された.この知見は無作為化試験の知見と一致している.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1412 - 23. )