再発または治療抵抗性の有毛細胞白血病に対するベムラフェニブとリツキシマブの併用
Vemurafenib plus Rituximab in Refractory or Relapsed Hairy- Cell Leukemia
E. Tiacci and Others
有毛細胞白血病(HCL)は,BRAF V600E キナーゼ活性化変異が病因の一端を担う,CD20 陽性の低悪性度 B 細胞腫瘍である.再発または治療抵抗性の有毛細胞白血病患者を対象とした臨床試験では,経口 BRAF 阻害薬ベムラフェニブを用いて BRAF V600E を標的化することで,患者の 91%に奏効をもたらし,35%で完全奏効が得られている.しかし,治療中止後の無再発生存期間の中央値はわずか 9 ヵ月である.
再発または治療抵抗性の HCL 患者を対象とした第 2 相単一施設学術試験で,ベムラフェニブ(960 mg を 1 日 2 回 8 週間投与)とリツキシマブ(375 mg/m2 体表面積を 18 週間で 8 回投与)の同時併用,および逐次併用の安全性と有効性を評価した.主要評価項目は,計画した治療が終了した時点での完全奏効とした.
HCL 患者 30 例が組み入れられ,前治療数の中央値は 3 であった.intention-to-treat 集団では,完全奏効は 26 例(87%)に認められた.HCL が化学療法に不応(10 例)またはリツキシマブに不応(5 例)であった全例と,BRAF 阻害薬による治療歴のあった全例(7 例)で完全奏効が得られた.血小板減少は中央値 2 週間後に消失し,好中球減少は中央値 4 週間後に消失した.完全奏効が得られた 26 例のうち,17 例(65%)では微小残存病変(MRD)が検出されなかった.全 30 例での無増悪生存率は,追跡期間中央値 37 ヵ月の時点で 78%であった.奏効が得られた 26 例の無再発生存率は,追跡期間中央値 34 ヵ月の時点で 85%であった.事後解析において,MRD 陰性と BRAF 治療歴がないことは,無再発生存期間がより長いことと相関した.毒性は,大部分がグレード 1 または 2 であり,これらの薬剤でこれまでに認められているものであった.
この小規模試験では,ベムラフェニブとリツキシマブを併用する,化学療法を使用せず骨髄毒性のない短期間のレジメンは,再発または治療抵抗性の HCL 患者の大部分において,持続性のある完全奏効と関連した.(欧州研究会議ほかから研究助成を受けた.HCL-PG03 EudraCT 登録番号 2014-003046-27)