The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

June 17, 2021 Vol. 384 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

院外心停止後の低体温療法と常温療法との比較
Hypothermia versus Normothermia after Out-of-Hospital Cardiac Arrest

J. Dankiewicz and Others

背景

心停止患者には体温管理療法が推奨されているが,それを支持するエビデンスは確実性が低い.

方 法

盲検下で転帰を評価する非盲検試験で,心原性と推定される院外心停止または原因不明の院外心停止後,昏睡状態にある成人 1,900 例を,目標体温を 33℃として低体温療法を行い,その後管理下で復温を行う群と,体温を 37.5℃以下に維持する常温療法を行い,発熱した場合(37.8℃以上)に早期治療する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,6 ヵ月の時点での全死因死亡とした.副次的転帰は,6 ヵ月の時点で修正 Rankin スケールにより評価した機能的転帰などとした.事前に規定したサブグループは,性,年齢,初期調律,自己心拍再開までの時間,入院時のショックの有無で分類した.事前に規定した有害事象は,肺炎,敗血症,出血,血行動態の破綻をきたす不整脈,体温管理装置に関連する皮膚の合併症であった.

結 果

主要転帰を評価しえたのは 1,850 例であった.6 ヵ月の時点で,低体温療法群では 925 例中 465 例(50%)が死亡していたのに対し,常温療法群では 925 例中 446 例(48%)が死亡していた(低体温療法の相対リスク 1.04,95%信頼区間 [CI] 0.94~1.14,P=0.37).機能的転帰を評価しえたのは 1,747 例で,そのうち中等度以上の障害(修正 Rankin スケールスコア 4 以上)が認められたのは低体温療法群では 881 例中 488 例(55%),常温療法群では 866 例中 479 例(55%)であった(低体温療法の相対リスク 1.00,95% CI 0.92~1.09).転帰は事前に規定したサブグループにおいても同様であった.血行動態の破綻をきたす不整脈の発現頻度は,低体温療法群のほうが常温療法群よりも高かった(24% 対 17%,P<0.001).その他の有害事象の発現率に群間で有意差は認められなかった.

結 論

院外心停止後,昏睡状態にある患者に対して,目標体温を設定した低体温療法を行った場合,目標体温を設定した常温療法を行った場合と比較して 6 ヵ月までの死亡率が低くなることはなかった.(スウェーデン研究評議会ほかから研究助成を受けた.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 2283 - 94. )