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June 24, 2021 Vol. 384 No. 25

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無症状の直腸クラミジア トラコマティス感染に対するアジスロマイシンとドキシサイクリンとの比較
Azithromycin or Doxycycline for Asymptomatic Rectal Chlamydia trachomatis

A. Lau and Others

背景

直腸クラミジアは男性間性交渉者によくみられる細菌性性感染症である.治療の指針となる無作為化比較試験のデータが必要とされている.

方 法

オーストラリアの 5 つのセクシャルヘルスクリニックで行った二重盲検試験で,男性との性交渉歴があり,直腸クラミジアが確認された無症状の男性を,ドキシサイクリン群(100 mg 1 日 2 回,7 日間投与)とアジスロマイシン群(1 g 単回投与)に無作為に割り付けた.直腸クラミジア感染症の男性の 85%超が無症状であることと,診療ガイドラインは有症状の感染に対してより長期の治療を推奨していることから,この試験では無症状の直腸クラミジアの男性を対象とした.主要転帰は,4 週の時点における核酸増幅検査で直腸クラミジアが陰性であること(微生物学的治癒)とした.

結 果

2016 年 8 月~2019 年 8 月に 625 例(ドキシサイクリン群 314 例,アジスロマイシン群 311 例)を組み入れた.主要転帰のデータを入手しえたのは,ドキシサイクリン群では 290 例(92.4%),アジスロマイシン群では 297 例(95.5%)であった.修正 intention-totreat 解析対象集団では,ドキシサイクリン群 290 例中 281 例(96.9%,95%信頼区間 [CI] 94.9~98.9)とアジスロマイシン群 297 例中 227 例(76.4%,95% CI 73.8~79.1)で微生物学的治癒が得られ,補正後のリスク差は 19.9 パーセントポイントであった(95% CI 14.6~25.3,P<0.001).有害事象は,悪心,下痢,嘔吐がドキシサイクリン群の 98 例(33.8%)と,アジスロマイシン群の 134 例(45.1%)で報告された(リスク差 -11.3 パーセントポイント,95% CI -19.5~-3.2).

結 論

男性間性交渉者における直腸クラミジア感染症の治療において,ドキシサイクリンの 7 日間投与は,アジスロマイシンの単回投与よりも優れていた.(オーストラリア国立保健医療研究評議会から研究助成を受けた.RTS 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12614001125617)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 2418 - 27. )