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January 7, 2021 Vol. 384 No. 1

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再発性心膜炎に対するインターロイキン-1 トラップであるリロナセプトの第 3 相試験
Phase 3 Trial of Interleukin-1 Trap Rilonacept in Recurrent Pericarditis

A.L. Klein and Others

背景

インターロイキン-1 は,再発性心膜炎のメディエータであることが示唆されている.インターロイキン-1α・1βのサイトカイントラップであるリロナセプト(rilonacept)の有効性と安全性が,再発性心膜炎患者を対象とした第 2 相試験で以前に検討された.

方 法

再発性心膜炎の急性症状(患者報告スケールで評価)と全身性炎症(C 反応性蛋白 [CRP] 高値で示される)を有する患者を対象に,リロナセプトの第 3 相多施設共同二重盲検イベント主導型無作為化治療中止試験を行った.標準治療中に心膜炎の再発で受診した患者を 12 週間の導入期間に組み入れ,この期間にリロナセプトを開始し,基礎治療として使用していた薬剤を中止した.臨床効果が認められた(事前に規定した効果基準を満たした)患者を,リロナセプト単独療法を継続する群とプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,週 1 回皮下投与した.主要有効性エンドポイントは心膜炎の初回再発までの期間とし,Cox 比例ハザードモデルで評価した.安全性も評価した.

結 果

心膜炎の疼痛と CRP 高値を有する 86 例が導入期間に組み入れられた.導入期間中に,疼痛が消失またはほぼ消失するまでの期間の中央値は 5 日であり,CRP 値が正常化するまでの期間の中央値は 7 日であった.61 例が無作為化された.無作為化治療中止期間中,リロナセプト群では再発イベントが少なく,判定に基づく初回再発までの期間の中央値を算出することができなかった.プラセボ群では,判定に基づく初回再発までの期間の中央値は 8.6 週(95%信頼区間 [CI] 4.0~11.7)であった(Cox 比例ハザードモデルによるハザード比 0.04,95% CI 0.01~0.18,log-rank 検定で P<0.001).同期間中,心膜炎の再発はリロナセプト群の 30 例中 2 例(7%)とプラセボ群の 31 例中 23 例(74%)に認められた.導入期間中,リロナセプト療法の中止にいたった有害事象が 4 例に発現した.リロナセプトに伴う有害事象でとくに頻度が高かったのは,注射部位反応と上気道感染であった.

結 論

再発性心膜炎患者において,リロナセプトは心膜炎の再発エピソードを速やかに消失させ,再発のリスクをプラセボと比較して有意に低下させた.(キニクサ・ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.RHAPSODY 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03737110)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 31 - 41. )