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September 16, 2021 Vol. 385 No. 12

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心血管イベントと死亡に対する代替塩の効果
Effect of Salt Substitution on Cardiovascular Events and Death

B. Neal and Others

背景

ナトリウム含有量を減らし,カリウム含有量を増やした代替塩により血圧が低下することが示されているが,心血管転帰と安全性転帰に対する効果は不明である.

方 法

中国農村部の 600 の村落の住民を対象とした非盲検クラスター無作為化試験を行った.参加者は脳卒中の既往を有するか,60 歳以上で血圧が高かった.村落を,参加者が代替塩(質量の 75%が塩化ナトリウム,25%が塩化カリウム)を使用する介入群と,通常の塩(100%塩化ナトリウム)の使用を継続する対照群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要転帰は脳卒中,副次的転帰は主要有害心血管イベントと全死因死亡とし,安全性転帰は臨床的高カリウム血症とした.

結 果

20,995 人を試験に組み入れた.平均年齢は 65.4 歳で,49.5%が女性であり,72.6%が脳卒中の既往を有し,88.4%が高血圧の病歴を有した.平均追跡期間は 4.74 年であった.脳卒中の発生率は代替塩群のほうが通常塩群よりも低く(1,000 人年あたり 29.14 件 対 33.65 件,率比 0.86,95%信頼区間 [CI] 0.77~0.96,P=0.006),主要有害心血管イベントの発生率(1,000 人年あたり 49.09 件 対 56.29 件,率比 0.87,95% CI 0.80~0.94,P<0.001)と死亡の発生率(1,000 人年あたり 39.28 件 対 44.61 件,率比 0.88,95% CI 0.82~0.95,P<0.001)も同様であった.高カリウム血症による重篤な有害事象の発生率は,代替塩群が通常塩群よりも有意に高いことはなかった(1,000 人年あたり 3.35 件 対 3.30 件,率比 1.04,95% CI 0.80~1.37,P=0.76).

結 論

脳卒中の既往を有するか 60 歳以上で血圧の高い参加者のうち,代替塩を使用した参加者では,通常塩を使用した参加者よりも脳卒中,主要有害心血管イベント,全死因死亡の発生率が低かった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会から研究助成を受けた.SSaSS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02092090)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1067 - 77. )