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September 23, 2021 Vol. 385 No. 13

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Covid-19 を予防するための 2 つの抗体を組み合わせた製剤 REGEN-COV の皮下注射
Subcutaneous REGEN-COV Antibody Combination to Prevent Covid-19

M.P. O’Brien and Others

背景

モノクローナル抗体のカシリビマブとイムデビマブを組み合わせた製剤 REGEN-COV(旧称:REGN-COV2)は,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に罹患した高リスク患者の入院または死亡のリスクを顕著に低減させることが示されている.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染者に家庭内で曝露し,感染のリスクが高い人に REGEN-COV の皮下注射を行うことで,SARS-CoV-2 感染とその後の Covid-19 が予防されるかどうかは不明である.

方 法

発端患者が SARS-CoV-2 感染の診断を受けてから 96 時間以内に組み入れた家庭内接触者(12 歳以上)を,REGEN-COV 総投与量 1,200 mg 群と,マッチさせたプラセボ群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,皮下注射で投与した.無作為化の時点で,参加者を現地で診断に用いられていた SARS-CoV-2 検査の結果と,年齢で層別化した.主要有効性エンドポイントは,SARS-CoV-2 に感染していない(定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応法で測定),または感染の既往のない(血清陰性)参加者における,28 日目までの有症状の SARS-CoV-2 感染の発生とした.

結 果

有症状の SARS-CoV-2 感染は,REGEN-COV 群 753 例中 11 例(1.5%),プラセボ群 752 例中 59 例(7.8%)に発生した(相対リスク減少 [1-相対リスク] 81.4%,P<0.001).2~4 週目については,REGEN-COV 群 753 例中 2 例(0.3%),プラセボ群 752 例中 27 例(3.6%)に発生した(相対リスク減少 92.6%).REGEN-COV は,有症状および無症状の SARS-CoV-2 感染全体も予防した(相対リスク減少 66.4%).有症状の感染が発生した参加者のうち,REGEN-COV 群では,プラセボ群よりも症状消失までの期間の中央値が 2 週間短く(それぞれ 1.2 週間と 3.2 週間),高いウイルス量(>104 コピー/mL)が持続する期間が短かった(それぞれ 0.4 週間と 1.3 週間).REGEN-COV の用量制限毒性は認められなかった.

結 論

SARS-CoV-2 感染者に家庭内で接触した感染歴のない人において,REGEN-COV の皮下注射は有症状の Covid-19 と無症状の SARS-CoV-2 感染を予防した.感染した家庭内接触者では,REGEN-COV によって有症状の Covid-19 の持続期間と,高いウイルス量が持続する期間が短縮された.(リジェネロン ファーマシューティカルズ社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04452318)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1184 - 95. )