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September 23, 2021 Vol. 385 No. 13

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転移性ぶどう膜悪性黒色腫に対するテベンタフスプによる全生存への利益
Overall Survival Benefit with Tebentafusp in Metastatic Uveal Melanoma

P. Nathan and Others

背景

ぶどう膜悪性黒色腫は,皮膚悪性黒色腫とは異なる疾患であり,転移性ぶどう膜悪性黒色腫患者は腫瘍遺伝子変異量が少なく,1 年全生存率は約 50%である.全身療法による全生存への利益を示すデータは不足している.テベンタフスプ(tebentafusp)は,親和性を強化させた T 細胞受容体を抗 CD3 エフェクターと融合させた二重特異性蛋白であり,T 細胞を,糖蛋白 100 陽性細胞を標的とするようリダイレクトさせることができる.

方 法

非盲検第 3 相試験で,HLA-A*02:01 陽性の転移性ぶどう膜悪性黒色腫未治療患者を,乳酸脱水素酵素値で層別化し,テベンタフスプの投与を受ける群(テベンタフスプ群)と,ペムブロリズマブ,イピリムマブ,ダカルバジンの中から試験担当医師が選択した単剤療法を受ける群(対照群)に,2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは全生存とした.

結 果

378 例をテベンタフスプ群(252 例)と対照群(126 例)に無作為に割り付けた.intention-to-treat 集団における 1 年全生存率は,テベンタフスプ群で 73%,対照群で 59%であった(死亡のハザード比 0.51,95%信頼区間 [CI] 0.37~0.71,P<0.001).無増悪生存率もテベンタフスプ群のほうが対照群よりも有意に高かった(6 ヵ月の時点 31% 対 19%,病勢進行または死亡のハザード比 0.73,95% CI 0.58~0.94,P=0.01).テベンタフスプ群でとくに頻度の高かった治療関連有害事象は,サイトカイン介在性事象(T 細胞活性化に起因)と,皮膚関連事象(糖蛋白 100 陽性メラニン細胞に起因)であり,皮疹(83%),発熱(76%),瘙痒(69%)などであった.これらの有害事象の発現率と重症度は 3 回目または 4 回目の投与後に低下し,試験薬の中止にいたることはまれであった(2%).治療関連死は報告されなかった.

結 論

未治療の転移性ぶどう膜悪性黒色腫患者に対するテベンタフスプ投与により,対照治療よりも全生存期間が延長した.(イミュノコア社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号NCT03070392,EudraCT 登録番号 2015-003153-18)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1196 - 206. )