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October 21, 2021 Vol. 385 No. 17

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非アルコール性脂肪肝炎に対する汎 PPAR 作動薬ラニフィブラノールの無作為化比較試験
A Randomized, Controlled Trial of the Pan-PPAR Agonist Lanifibranor in NASH

S.M. Francque and Others

背景

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)の管理は,臨床におけるアンメットニーズである.ラニフィブラノール(lanifibranor)は,NASH の発症機序において鍵となる代謝経路,炎症経路,肝線維化経路を修飾する汎ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)作動薬である.

方 法

第 2b 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験において,肝硬変を伴わないが活動性の高い NASH 患者を,ラニフィブラノール 1,200 mg を 1 日 1 回 24 週間投与する群,800 mg を 1 日 1 回 24 週間投与する群,プラセボを投与する群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,肝線維化の進展を伴わずに,SAF-A スコア(脂肪変性・活動性・肝線維化 [SAF] 評価システムの,風船様変性と炎症のスコアを含む活動性項目)が 2 ポイント以上減少することとした.SAF-A スコアは 0~4 で,スコアが高いほど疾患活動性が高いことを示す.副次的エンドポイントは,NASH の消散,肝線維化の退縮などとした.

結 果

247 例が無作為化され,うち 103 例(42%)が 2 型糖尿病を有し,188 例(76%)が有意(中等度)または高度な肝線維化を有していた.肝線維化の進展を伴わずに SAF-A スコアが 2 ポイント以上減少した患者の割合は,ラニフィブラノール 1,200 mg を投与した患者ではプラセボを投与した患者よりも有意に高かったが(55% 対プラセボ群 33%,P=0.007),800 mg を投与した患者では有意には高くなかった(48% 対 プラセボ群 33%,P=0.07).副次的エンドポイントの結果は,ラニフィブラノール 1,200 mg と 800 mg のいずれもプラセボと比較して良好であり,肝線維化の進展を伴わずに NASH の消散を認めた患者の割合はそれぞれ 49%と 39%に対し 22%,NASH の進展を伴わずに肝線維化ステージの 1 段階以上の改善を認めた患者の割合は 48%と 34%に対し 29%,NASH の消散と肝線維化ステージの 1 段階以上の改善を認めた患者の割合は 35%と 25%に対し 9%であった.ラニフィブラノールを投与した 2 群では,肝酵素値が低下し,脂質,炎症,肝線維化のバイオマーカーの大部分の値が改善した.有害事象による脱落率は 5%未満で,3 群で同程度であった.ラニフィブラノール群では,下痢,悪心,末梢性浮腫,貧血,体重増加の頻度がプラセボ群よりも高かった.

結 論

活動性 NASH 患者を対象とした第 2b 相試験で,肝線維化の進展を伴わずに SAF-A スコアが 2 ポイント以上減少した患者の割合は,ラニフィブラノール 1,200 mg 群でプラセボ群よりも有意に高かった.これらの知見は,第 3 相試験でラニフィブラノールをさらに評価することを支持している.(インベンティバ ファーマ社から研究助成を受けた.NATIVE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03008070)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 1547 - 58. )