October 21, 2021 Vol. 385 No. 17
非アルコール性脂肪性肝疾患の成人の転帰に関する前向き研究
Prospective Study of Outcomes in Adults with Nonalcoholic Fatty Liver Disease
A.J. Sanyal and Others
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の組織学的スペクトラム全体での死亡,肝転帰,肝臓以外の転帰に関する予後は十分に明らかにされていない.
NAFLD のすべての組織学的スペクトラムが含まれる,多施設の患者集団を前向きに追跡した.死亡とその他の転帰の発生率を,ベースライン時の組織学的特徴に基づいて比較した.
NAFLD の成人 1,773 例を中央値で 4 年間追跡した.全死因死亡率は肝線維化ステージに応じて上昇した(100 人年あたり,ステージ F0~F2 [肝線維化なし,軽度,中等度] では 0.32 件,F3 [架橋線維化] では 0.89 件,F4 [肝硬変] では 1.76 件).100 人年あたりの肝関連合併症の発生率は,肝線維化ステージに応じて次のように上昇した(F0~F2 対 F3 対 F4):静脈瘤出血 0.00 件 対 0.06 件 対 0.70 件,腹水 0.04 件 対 0.52 件 対 1.20 件,脳症 0.02 件 対 0.75 件 対 2.39 件,肝細胞癌 0.04 件 対 0.34 件 対 0.14 件.また,肝線維化ステージ F4 の患者は,F0~F2 の患者と比較して 2 型糖尿病の発生率も高く(100 人年あたり 7.53 件 対 4.45 件),推算糸球体濾過量の 40%超の低下の発生率も高かった(100 人年あたり 2.98 件 対 0.97 件).心イベントと肝臓以外の癌の発生率は,各肝線維化ステージで同程度であった.年齢,性,人種,糖尿病の有無,ベースライン時の組織学的重症度で補正すると,いずれかの非代償性肝硬変イベント(静脈瘤出血,腹水,脳症)の発生は,全死因死亡率の上昇と関連していた(補正ハザード比 6.8,95%信頼区間 2.2~21.3).
NAFLD 患者を対象とした今回の前向き研究では,肝線維化ステージ F3 と F4 は,肝関連合併症と死亡のリスク上昇と関連していた.(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所ほかから研究助成を受けた.NAFLD DB2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01030484)