心不全で入院した高齢者に対する身体的リハビリテーション
Physical Rehabilitation for Older Patients Hospitalized for Heart Failure
D.W. Kitzman and Others
急性非代償性心不全で入院した高齢者は,身体的フレイルの割合が高く,QOL 不良,回復の遅延,高い再入院率を伴う.この集団の身体的フレイルに対処するための介入は十分に確立されていない.
多施設共同無作為化比較試験を行い,4 つの身体機能領域(筋力,バランス能力,移動能力,持久力)の,段階的に移行する個別化リハビリテーション介入を評価した.介入は心不全での入院中または入院後早期に開始し,退院後も外来で 36 セッション継続した.主要転帰は,3 ヵ月の時点での簡易身体機能テストバッテリ(SPPB;合計スコア 0~12 で,低いほど身体機能障害が高度であることを示す)のスコアとした.副次的転帰は,6 ヵ月の時点での原因を問わない再入院率とした.
349 例が無作為化され,175 例がリハビリテーション介入群,174 例が通常ケア(対照)群に割り付けられた.ベースライン時に,身体機能は両群とも著明に低下しており,97%がフレイルまたはその前段階(prefrail)の状態であった.各群の併存疾患数の平均値は 5 であった.介入群の継続率は 82%であり,介入セッションの遵守率は 67%であった.ベースライン時の SPPB スコアとその他のベースライン特性で補正すると,3 ヵ月の時点での SPPB スコアの最小二乗平均値(±SE)は,介入群 8.3±0.2,対照群 6.9±0.2 であった(群間差の平均値 1.5,95%信頼区間 [CI] 0.9~2.0,P<0.001).6 ヵ月の時点での原因を問わない再入院率は,介入群 1.18,対照群 1.28 であった(率比 0.93,95% CI 0.66~1.19).死亡は介入群 21 例(心血管系の原因による死亡 15 例),対照群 16 例(心血管系の原因による死亡 8 例)であった.全死因死亡率はそれぞれ 0.13 と 0.10 であった(率比 1.17,95% CI 0.61~2.27).
急性非代償性心不全で入院した高齢者の多様な集団において,複数の身体機能領域の,早期に開始し,段階的に移行する個別化リハビリテーション介入は,通常ケアと比較して身体機能の大幅な改善をもたらした.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.REHAB-HF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02196038)