December 9, 2021 Vol. 385 No. 24
コントロール不良の中等症~重症喘息の小児に対するデュピルマブ
Dupilumab in Children with Uncontrolled Moderate-to-Severe Asthma
L.B. Bacharier and Others
中等症~重症喘息の小児は,標準治療を受けていても喘息の合併症が持続する.モノクローナル抗体であるデュピルマブは,喘息,その他の 2 型炎症性疾患を有する成人および思春期児の治療薬として承認されている.
52 週間の第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で,コントロール不良の中等症~重症喘息を有する 6~11 歳児 408 例を,デュピルマブ(体重 30 kg 以下は 100 mg,30 kg 超は 200 mg)を 2 週ごとに皮下注射する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に割り付けた.全例が標準的な基礎治療を一定用量で継続した.主要エンドポイントは,重度の急性増悪の年間発生率とした.副次的エンドポイントは,12 週の時点における気管支拡張薬投与前の予測 1 秒量に対する比率(ppFEV1)と 24 週の時点における「質問者記入式喘息コントロール質問票 7(ACQ-7-IA)」のスコアのベースラインからの変化量などとした.エンドポイントは,喘息の表現型が 2 型炎症(ベースラインの血中好酸球数 150/mm3 以上または呼気一酸化窒素濃度 20 ppb 以上)の患者と,ベースライン時の血中好酸球数 300/mm3 以上の患者と定義した,2 つの主要有効性解析対象集団で評価した.
表現型が 2 型炎症の患者において,重度の急性増悪の年間発生率はデュピルマブ群 0.31(95%信頼区間 [CI] 0.22~0.42),プラセボ群 0.75(95% CI 0.54~1.03)であった(デュピルマブ群の相対リスク減少 59.3%,95% CI 39.5~72.6,P<0.001).ppFEV1 のベースラインからの変化量の平均(±SE)は,デュピルマブ群 10.5±1.0 パーセントポイント,プラセボ群 5.3±1.4 パーセントポイントであった(差の平均 5.2 パーセントポイント,95% CI 2.1~8.3,P<0.001).デュピルマブ群では,喘息のコントロールもプラセボ群より有意に良好であった(P<0.001).ベースライン時の好酸球数 300/mm3 以上の患者においても同様の結果であった.重篤な有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.
コントロール不良の中等症~重症喘息を有する小児において,デュピルマブの上乗せ投与を受けた児は,プラセボの投与を受けた児よりも急性増悪が少なく,肺機能と喘息コントロールが良好であった.(サノフィ社,リジェネロン ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.Liberty Asthma VOYAGE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02948959)