December 23, 2021 Vol. 385 No. 26
膿疱性乾癬(汎発型)に対するスペソリマブの試験
Trial of Spesolimab for Generalized Pustular Psoriasis
H. Bachelez and Others
膿疱性乾癬(汎発型)(GPP)は生命を脅かすまれな炎症性皮膚疾患であり,無菌性膿疱が広範囲に現れるのが特徴である.病因にはインターロイキン-36 のシグナル伝達が関与している.ヒト化抗インターロイキン-36 受容体モノクローナル抗体であるスペソリマブ(spesolimab)は,GPP フレアの治療薬として検討されている.
第 2 相試験で,GPP フレアが生じた患者を,スペソリマブ 900 mg を単回静脈内投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.両群とも,8 日目にスペソリマブの非盲検投与,または 9 日目以降にレスキュー投与としてのスペソリマブの非盲検投与,あるいはその両方を受けられることとし,12 週目まで追跡した.主要エンドポイントは,1 週目終了時の「医師による膿疱性乾癬(汎発型)の全般的評価(GPPGA)」の膿疱サブスコア(0 [肉眼的膿疱がない]~4 [重度の膿疱])が 0 であることとした.重要な副次的エンドポイントは,1 週目終了時の GPPGA の総スコア(0~4,スコアが高いほど疾患の重症度が高いことを示す)が 0 または 1(皮疹が消失またはほぼ消失)であることとした.
53 例が組み入れられ,35 例がスペソリマブ群,18 例がプラセボ群に割り付けられた.ベースライン時に,スペソリマブ群の 46%とプラセボ群の 39%が GPPGA 膿疱サブスコア 3 であり,それぞれ 37%と 33%が 4 であった.1 週目終了時にスペソリマブ群 35 例中 19 例(54%)が膿疱サブスコア 0 であったのに対し,プラセボ群では 18 例中 1 例(6%)であった(差 49 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 21~67,P<0.001).スペソリマブ群 35 例中 15 例(43%)が GPPGA 総スコア 0 または 1 であったのに対し,プラセボ群では 18 例中 2 例(11%)であった(差 32 パーセントポイント,95% CI 2~53,P=0.02).薬物反応はスペソリマブの投与を受けた 2 例に認められ,うち 1 例では同時に薬物性肝障害も認められた.スペソリマブ群に割り付けられた患者では,最初の 1 週間に 35 例中 6 例(17%)に感染症が生じ,試験中のいずれかの時点でスペソリマブの投与を受けた患者は 12 週の時点で 51 例おり,そのうち 24 例(47%)に感染症が生じていた.抗薬物抗体は,スペソリマブの投与を少なくとも 1 回受けた 50 例中 23 例(46%)で検出された.
GPP 患者を対象とした第 2 相無作為化試験で,インターロイキン-36 受容体阻害薬であるスペソリマブは,1 週の時点での皮疹消失割合がプラセボよりも高かったが,感染症と全身性薬物反応を伴った.膿疱性乾癬患者におけるスペソリマブの効果とリスクを明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(ベーリンガーインゲルハイム社から研究助成を受けた.Effisayil 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03782792)