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December 30, 2021 Vol. 385 No. 27

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脳梗塞または一過性脳虚血発作を発症した CYP2C19 機能喪失型アレル保有者におけるチカグレロルとクロピドグレルとの比較
Ticagrelor versus Clopidogrel in CYP2C19 Loss-of-Function Carriers with Stroke or TIA

Y. Wang and Others

背景

CYP2C19 機能喪失型アレル保有者の脳梗塞の二次予防におけるチカグレロルとクロピドグレルの比較は大規模には行われていない.

方 法

中国の 202 施設で,軽症脳梗塞または一過性脳虚血発作(TIA)を発症した,CYP2C19 機能喪失型アレルを保有する患者を対象に,無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者を,発症後 24 時間以内に,チカグレロル(1 日目に 180 mg,その後は 2~90 日目まで 90 mg を 1 日 2 回)+クロピドグレルのプラセボを投与する群と,クロピドグレル(1 日目に 300 mg,その後は 2~90 日目まで 75 mg を 1 日 1 回)+チカグレロルのプラセボを投与する群に,1:1 の割合で割り付けた.両群にアスピリンを 21 日間投与した.主要有効性転帰は脳卒中の新規発症,主要安全性転帰は重度または中等度の出血とし,いずれも 90 日以内に発生したものとした.

結 果

11,255 例がスクリーニングを受け,6,412 例が組み入れられた.3,205 例がチカグレロル群に,3,207 例がクロピドグレル群に割り付けられた.患者の年齢中央値は 64.8 歳であり,33.8%は女性であった.98.0%は漢民族であった.90 日以内に,チカグレロル群の 191 例(6.0%)とクロピドグレル群の 243 例(7.6%)が脳卒中を発症した(ハザード比 0.77,95%信頼区間 0.64~0.94,P=0.008).副次的転帰は主要転帰とおおむね同様の傾向にあった.重度または中等度の出血は,チカグレロル群の 9 例(0.3%)とクロピドグレル群の 11 例(0.3%)に発生し,軽度のものも含めるとそれぞれ 170 例(5.3%)と 80 例(2.5%)に発生した.

結 論

軽症脳梗塞または TIA を発症した中国人の CYP2C19 機能喪失型アレル保有者において,90 日の時点での脳卒中リスクは,チカグレロル群のほうがクロピドグレル群よりもやや低かった.重度または中等度の出血リスクに治療群間で差は認められなかったが,チカグレロルはクロピドグレルよりも出血イベント全体の多さに関連していた.(中華人民共和国科学技術部ほかから研究助成を受けた.CHANCE-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04078737)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 2520 - 30. )